心臓病の一種、大動脈弁上狭窄症(Supuravalvular Aortic Stenosis:SVAS)の約半数は
ある種の症候群を伴う。これらは、大動脈弁上狭窄症候群(SAS症候群、SVAS症候
群)と呼ばれている。中でもある種の遺伝子の欠損による先天性の症候群にウイリアムス
症候群があります。
しかし、残念ながら日本ではウイリアムス症候群(Williams Syndrome)は、一般の小
児科医にはあまり知られていません。また、これに関する情報は、ほとんど入手する事が
出来ません。この症候群の子供達がどのように生活し、どのように社会に溶け込んでいる
のかという情報もほとんどありません。そのため、このようなHomePageを作成しました。
この情報は、Patty MacKayの許可をいただき、翻訳したものを参考に加筆し作成したも
のです。
なお、この情報は欧米の情報をもとにしております。日本ではあまり研究が進んでおり
ませんので、この情報が一部日本人ではそぐわない部分もあるかもしれません。確認でき
次第、修正して情報を更新します。
また、心臓病の医師のみならず、心理学、教育学など多方面の先生にご相談され、広い
視野で病気と向かい合う事をお薦めします。このページの情報をもとに、しっかりした知
識をもち、前向きに病気と取り組んでいただけることを願っています。
概要
ウイリアムス症候群(Williams Syndrome)とはこの症候群はニュージーランドの
Dr.J.C.P.Williamsによってはじめて報告された遺伝子病である。まれな疾患で、出生約
20,000人に1人の頻度と考えられる。これまでの研究でウイリアムス症候群は、7番目
の染色体のエラスチン遺伝子の欠損が証明されている。この欠損でウイリアムス症候群
のいろいろな症状を説明できるが、同じ部位での他の物質の遺伝子的な欠落もあるもの
と考えられる。個々の当該疾患児では欠失の範囲が異なるので、それが医学的な面、発
達の面での難しさの原因となっている。
診断
ウイリアムス症候群は、遺伝子病や先天異常において造詣の深い専門医が、子供の成育
歴や診察所見、その行動により診断する。診断は心雑音や心疾患を疑われた子が最初に
相談する心臓疾患の専門医によってもなされる。ときには発達の遅れから発達チェック
を受けて診断がなされる事がある。ウイリアムス症候群は生下時から存在する訳で、そ
の時から診断は可能ではあるが、しばしば見逃されたりする。
今日では、遺伝子検査を行なう事でウイリアムス症候群を特定する事が出来るが、こ
の検査は高額な検査費用が必要である。また、病院によってはこの検査が保険が効かな
いと言われる場合もある。
身体的特徴
顔貌
- 広い額で小さな頭、眼周囲の浮腫、紅彩の放射線模様、上向きの鼻、鞍鼻、厚い唇、乱食いの歯、小顎
体格、体形
心疾患
その他
生後の早期症状
- 低出生体重
- 体重増加の不良の赤ん坊
- 高カルシウム血症(血清カルシウムの上昇)
- 一般的に生後2年以内に起こる
- 嘔吐、便秘、授乳困難
- 異常な睡眠パターン
- 聴覚過敏
- 高音(電気機器の発する音、モーター音、大きな音)に悩まされ、これは成人になっても続く。
学齢期における特徴
思春期、成人における特徴
- 最終身長は平均より低い
- 身体的、医学的問題は進行している
- 高血圧となる可能性は存在する
心理的特徴
我々は今何をすべきか
ウイリアムス症候群には「治療法」はない。しかし、特徴的な症状、発達遅延、行動に
は何かせねばならない。
- 幼児期は血清カルシウムを測定、上昇があれば内分泌専門医に相談する
- 年長者に対しては多くの領域にわたる治療の継続が必要である。
- 教育に関しては、次なるカリキュラムの評価と修正が必要不可欠である。
- 合併症のパターンに基づいた継続的な医学的アセスメントが肝要である。
- 自活と就職は身体的な問題からではなく、心理的、順応性の問題から制限される。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この資料は、椎名 久之さんが作成された
ホームページの
内容です。ホームページのアドレスは、下記の通りです。
(1997.5.6 作成)