こんなときどうするの?(障害基礎年金などについても)



ウィリアムズ症候群には医療・認知・行動・療育など色々な面に様々な症状があります。対応に困ることもあるでしょう。そんな時に役に立つアイデアを集めました。

ここに掲載されている方法は、ウィリアムズ症候群の人の家族や先生などから集めました。専門家の助言を基礎にした方法もあります。たまたまうまくいったという例もあります。唯一の共通点は、日本人のウィリアムズ症候群の人に適用して実際に効果が見られたということです。同じような悩みをお持ちであれば、一度試してみる価値があります。

他にも「こうすればうまくいった」という経験をお持ちでしたら、お教えください。皆で智恵を分け合いましょう。

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目次
  1. 病院に行くことを怖がって泣く
  2. お客さんが帰る時に大泣きをする(自傷行為につながる)
  3. 歯並びや噛み合せが悪い
  4. ピストルの音が怖くて運動会に参加できない
  5. 血液中のカルシウム値が高いのに牛乳やミルクを欲しがる
  6. リコーダーがうまく吹けない(穴をうまく押さえられない)
  7. 保険に入りたい
  8. 通園施設で椅子にちっとも座らない
  9. 体の発育と心の発達のアンバランスな娘への性教育
  10. テレビに近づきすぎる
  11. 障害基礎年金を申請する
  12. 障害基礎年金の更新をする
  13. 癇癪をおこさず我慢させる
  14. 障害基礎年金の更新をする(その2)
  15. 障害基礎年金の更新をする(その3)
  16. 障害基礎年金の更新をする(その4:今後診断書の提出は不要になった)
  17. 親亡き後の生活費(相続税の障害者控除について)
(2001年4月作成、2021年12月追記)

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  1. 病院に行くことを怖がって泣く

    病院での大泣きを直すため、これから起こる先々のことを予告してあげるやり方で効果がありました。先ず、病院の概観、先生の笑った顔、聴診器を当ててもらっている自分、看護婦さんがお薬を渡してくれるところ、お金を払うところ、乗って帰る車や電車などの場面を写真やデジカメで取り(理由を話して病院の方々に協力してもらいます)、本のようにしてしまいます。それを病院に行く前、車や電車を降りる直前などに見せて順に説明していきます。この方法で泣かずに通院できました。

       (4才の男の子、2001年)


  2. お客さんが帰る時に大泣きをする(自傷行為につながる)

    養護学校の先生が家庭訪問から帰る時に、ウィリアムズ症候群の男の子は大泣きし自傷行為をしていました。先生達は彼がそのような状態になるのを初めて目の当たりにしたので非常に驚きました。それまで彼は学校では決してそのような姿を見せなかったのです。先生達は木陰で彼の様子を見たあと、またピンポーンとチャイムを押してみました。彼は帰ったはずの人が登場したのでひどくびっくりして泣きやみましたがまた先生たちが居なくなると泣きはじめました。しかし先生たちがしつこくそれを3回も繰り返した所、「またくるのではないか」と思い初めて泣くことを止めたそうです。

       (小学校3年生の男の子、1999年)


  3. 歯並びや噛み合せが悪い

    今年になって、あごが小さいために窮屈な状態で上の永久歯が生えてきたので、歯茎と斜め45度になった状態で伸びてきてしまいました。このままだと口を閉じた時に、下の歯と当たってしまい、うまく噛み合わないという新たな問題が起きました。

    医者からはオーストラリア製のゴムでできたマウスピースを薦められ、夜寝ているときと昼起きている時も1時間ぐらいそれをはめていれば、子供の成長とともにあごの骨格も広げることができ、斜めに生えてきた歯もスペースができて普通に戻ると言われ、それを買って現在装着しています(価格は1万円程度で、ボクサーがはめているのとほぼ同じようなものです。名前はT4K TRAINERといいます。)半年から1年位はめるそうです。小学校低学年のあごの成長期でないと効果は無いそうです。

    寝ている時が中心なので、学校に行く時などは装着しないので、日常他人の目を気にすることも全くありません。これを地道にやっていた子が、正常の歯並びになったと医者からも例をあげて言われました。(真面目にやらないとダメなので、子どもがやる気あるかどうかにかかってくる代物ですが)。

    矯正だとかなり高額なので、この方法がうまくいけばもうけものというくらいの思いで、装着しています。当初ゴム臭くていやがるかと思いましたが、結構真面目に夜も付けているし昼もテレビを見ている間くらいははめています。今年の3月からはじめて2ヶ月程度経過しましたが、結構効果があるように思います。あごの突き出かたが収まって、歯自体も最初のひどい斜めの生え方から随分正常な角度に戻ってきました。

    ただ、全ての方に適している方法とはいえないので、(子どもにとっては結構大きいマウスピースで、装着当初は息ぐるしかったり、相当違和感があるかと思います)よくお医者さんと相談したうえで決められた方が良いでしょう。

       (小学校2年生の女の子、2002年)


  4. ピストルの音が怖くて運動会に参加できない

    今年はピストルのスタートに挑戦をしてみようということで、耳栓をしてレースに臨みました。これ、意外と効き目があったようです。アメリカでもウィリアムズの子供たちがSpecial Olympicsに参加する時、スタートのときのピストルの音を軽減するため小さいサイズの耳栓をしてレースに臨む場が多いそうです。

       (小学校6年生の女の子、2005年)


  5. 血液中のカルシウム値が高いのに牛乳やミルクを欲しがる

    血中のカルシウム値が高いと言われているが飲み物は牛乳とミルクしか飲まない。できるだけカルシウムやビタミンD(カルシウムの代謝に影響する)の摂取量を減らしたいので、牛乳を水で薄めて(牛乳2に水1の割合)飲ませたら、皮膚やおなかの身体症状が改善し、カルシウム値も下がった。

    また、「特発性高カルシウム血症」用の低カルシウムミルク「ビタミンD無添加、 低カルシウムフォーミュラ」が製造されていて、明治乳業からは「No206」、森永乳業からは「MM-4」という型番で販売されている。一般販売はされておらず、医師の処方の元で使える。このミルクについては「特殊ミルク情報」という専門誌が詳しい。

    同誌のNo11号には特集記事は、「高カルシウム血症・、高カルシウム尿症における食事療法」というタイトルで、いろいろなメニューの栄養成分が記録された10ページほどの論文が掲載されている。ただし、この論文はウィリアムズ症候群には言及していない。

       (2歳の男の子、2006年)


  6. リコーダーがうまく吹けない(穴をうまく押さえられない)

    リコーダーにクラリネットのような穴を押さえるキーを取り付けると、穴をうまく押さえられない子でも演奏ができます。

    この改造はヤマハ楽器で取り扱っています。右、もしくは左手の指が事故などにより 不自由になったお子さん用に開発されたようです。他の会社から もっと詳細に改造できるものもありますが、作ってくださる方と直接会って、どうするかを決めていくそうです。(ヤマハに問い合わせると 教えてくれます。)

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    ヤマハのもので アルトリコダーは37800円です。市で助成されると(25200円分)自己負担額は 12600円です。

    市に訓練・介護器具購入助成の申請をすると、1ヶ月くらいで決定もしくは不承認かの通知がきます。その書類をもって楽器店に行き オーダーからやく早くて10日前後で購入できます。助成の申請は 病院など作業療法士の先生からだしてもらえるようです。地域によって差があるかもしれませんので福祉課で確認されたほうがいいと思います。この助成は横浜では年1回だけ 受けられます。うちは、ソプラノリコダーを小6、アルトリコーダーを中1で頼みました。

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    学校での使用は 最初は了解してもらえませんでしたが、作業療法士の先生、遺伝科の先生の働きで、学校で使わせてもらえるようになりました。

    ウチが購入した楽器店は
      株式会社ヤマハミュージック横浜
      電話 045-314-8251

    指先に力が入りにくいので 音が出しにくかったのですが、楽譜は苦手ながら、楽しんでいます。

       (小学校6年生、中学1年生の女の子、2005年)


  7. 保険に入りたい

    障害者向けの保険があります。
    株式会社ジェイアイシーをご覧ください。

       (2006年)


  8. 通園施設で椅子にちっとも座らない

    今日は、昨日ウイリアムス症候群の2歳9ヶ月の女の子のインテーク面接をしました。お母さんは一生懸命でした。鈴木メソッドがいいのでは?作業療法はどうか?沢山の事を調べています。私はただ子どもがするのを見ながら、子どものする事を言語化し、もう一度やりたそうだったらそれを言語化してやってみると話しかけます。するととても素直に動きます。お母さんはかんしゃく持ちで、椅子にちっとも座らないと通園施設での話をします。私は子どもが座らないのは当たり前といいます。でも子どもはちゃんと座ります。自分がしようと思ったことが実現できるのであれば。3ヶ月後には話していますよと予言のような事を言います。でも予言ではありません。ちゃんと私の話した事に応じ、それらしい音が出ています。大丈夫の一言にお母さんは涙ぐみました。私の予言はいいんでしょうかね?でも慰めで言っているのではないのです。子どもと私は楽しく遊べました。その中に音や動作を伴った具体的なコミュニケーションが展開されていました。ですからもう大丈夫と思ったのです。子ども楽しむ事が出来ればそれだけでいいんです。でも一方的に楽しんじゃダメです。子どもも楽しめていればいいんです。子どもが能動的に参加していればいいんです。

    (2歳9ヶ月の女の子、2007年)


  9. 体の発育と心の発達のアンバランスな娘への性教育

    ウィリアムズ症候群の子供(女の子)は、二次成長が健常な子供(女の子)よりも早く訪れると言われていました。母である私は、妖精ちゃん(ウィリアムズ症候群の女の子)の性毛が、小学3年生の夏に生え始めたのを確認しました。この時、身長122センチ 体重28キロでした。生理の始まる目安として、身長150センチ 体重45キロからは、程遠くまだまだ小さな子供です。

    この頃より、いつ「生理」が始まっても不思議ではない事を覚悟しました。ここで、一番の問題が・・・・。

    それは、妖精ちゃんの体が小さいという事よりも、理解力。学校では、低学年のうちから、「男の子の体」「女の子の体」の違いなどは、「性教育」として学んできていました。ですが、具体的な体の変化や自分の身に起こる事として、どれだけの事が分かっているのか? どうやって、妖精ちゃんの理解力に合った説明をしてやったら良いのか?

    まず、女の子の体の変化を話しました。お風呂に入ったときに、妖精ちゃんの大事な所には、まだ毛が生えていないけれど、お母さんの大事な所には、毛が生えているでしょ?これは、もう子供じゃないのよ。だんだん、お母さんやおばあちゃんのように、大人の女の人になりましたよ、っていう印なの。外で知らない人や、お風呂以外のところでは、見せてはいけない所。大切な所だから、毛で隠しているの。おっぱいもだんだん膨らんでくるよ。

    妖精ちゃんは、まだよく分からないのか、「ふ〜ん」って感じで聞いていました。一度だけでなく、何度も何度も話して聞かせていました。

    そして、「生理」について。出血する事を教えなければなりません。何故、出血するのか?いろいろ考えました。

    妖精ちゃんや、弟は、お母さんから生まれてきたの。お母さんのお腹の中のお布団で、10ヶ月も寝てたのよ。女の人は、赤ちゃんをお腹の中で、大きくなるように、寝させるお布団を用意しておかなくちゃいけないの。妖精ちゃんなら、ぺっちゃんこのお布団と、ふかふかのお布団とどっちが良い?お母さんは、妖精ちゃんがいつ、お母さんのお腹のお布団でネンネしてくれても良いように、ちゃんと準備してたのよ。いつでも、妖精ちゃんがふかふかのお布団にネンネしてくれるように。

    だから、古くなったら、体から捨ててたの。でも、お布団は、体から出せないから、「血」に変わって、女の子の大切な所から出てくるの。だから、怪我や病気じゃないのよ。全然、心配しなくてもいいからね。と、こんな風に説明しました。

    何度も何度も。そして、もし、下着に血が付いているような事があったら、すぐにお母さんに教えるようにも。学校でだったら、養護の先生か、担任の先生にすぐに言うように教えました。平行して、学校の先生にも、妖精ちゃんに説明した事を話し、もし、出血した事を言いに来たら、よろしくお願いします。と頼んでおきました。

    手当てについては、先に教えておいても、その時になってみないとわからないだろうと思い、事前には教えませんでした。小3(8歳8ヶ月)の夏からこの話を何度も何度も言って聞かせ、実際初潮があったのが、小4(9歳5ヶ月)。この時の身長130センチ 体重34キロでした。

    初潮は、家でありましたので、すぐに準備しておいた専用の下着とナプキンを妖精ちゃんに渡し、手当ての方法を教えました。最初の何回かは、一緒にトイレに入り、私が手伝いながら、使い方や始末の方法を教えました。

    1年かけて、妖精ちゃんの体に起こる変化を話して聞かせていたので、動揺する事も無く、比較的スムーズに「生理」を受け入れました。学校でも、担任の先生が女性でしたので、トイレへ一緒に行ってくださり、丁寧に教えてやってくださいました。

    実際には、まだまだ知的にも精神的にも子供なのに、体だけ大人になって・・・・。親としては、嬉しいというよりも、可愛そうに・・・と、思う気持ちの方が強かった事を思い出します。

    それでも、「初潮」は、女の子にとって一生に一度。家族揃って、お赤飯でお祝いしました。

    (9歳5ヶ月の女の子、2005年)


  10. テレビに近づきすぎる

    テレビを画面のまん前で見る、あるいはテレビ台に登ってしまって危ないなど、テレビに近づきすぎる場合、テレビの前に1枚30x30センチ程度の人口芝マットを組み合わせて敷くと絶大な効果があります。ウィリアムズ症候群の幼児は足裏や手の感覚に過敏なところがあり、人口芝マットのちくちく感をとてもいやがります。これだと来客などの場合の片付けもとても簡単です。

    (3歳の男の子、2008年)


  11. 障害基礎年金を申請する

    2009年10月にウィリアムズ症候群の息子が20歳になったので11月に障害基礎年金を申請し、2010年1月に認められ、2月に第一回の支給(2009年11月分からの3か月分)がありました。申請方法や20歳になる前にやっておいてよかったことなどをまとめました。また、知的障害(精神発達遅滞)による障害基礎年金の申請に関してはインターネットにもいろいろ参考になる情報があります。例えば、
    「障害基礎年金申請ハンドブック」(少し更新日付が古いですが・・・)などです。

    1. 申請のきっかけ
      息子は18歳から障害者雇用を目的とした特例子会社で働き始めて厚生年金を払っています。厚生年金手帳を持っているため、20歳になる直前に国民年金の納付開始に関するお知らせはきませんでした。20歳になる10月に市役所の年金係に自ら申請書類を受け取りに行きました。今住んでいる市では、専任の担当者をアサインしてくれ、申請書の書き方やいろいろな書類の入手方法などについて相談にのってくれました。

    2. 申請書類について
      診断書(20歳時点。医師に書いてもらう)と申立書(親が書く)の2種類が主なものです。また、18歳のときに療育手帳の継続判定を受けた際の知能検査の結果も重要な参考資料として提出しました(後述)。なお、先天性の精神発達遅滞として20歳から障害基礎年金を貰い始めるためには、20歳の誕生日の前日から3ヶ月以内に診断書を書いてもらう必要があるようなので、20歳になったら早めに申請手続きを開始したほうがよいと思います。それ以外に、住民票コード(住基ネット用の番号)、本人名義の金融機関の口座や厚生年金手帳、収入を証明するための源泉徴収票(20歳前の傷病で障害基礎年金を貰う場合は所得制限があります。といっても、所得が年間398.4万円を超えれば半額支給になるというレベルですからほとんど無関係です)なども必要でした。

    3. 診断書
      息子の場合、12歳の時に療育手帳を取るために受診した大学病院の精神科に行って書いてもらいました。初診のときにかかった病院(そもそも先天性なので、20年前の病院にいくことは無理ですが)というわけではありません。障害基礎年金を認定される20歳時点で、日常生活に問題がある(援助が必要である)レベルであることや、症状が固定していることを書いてもらいました。診断書用紙は市役所でもらったものです。

    4. 申立書
      障害になった時点(つまり生まれた時)からの、治療や療育の状況を書く必要がありました。母子手帳に書かれたウィリアムズ症候群という診断名、療育センター通い、病院での診断結果(療育手帳を取るため、あるいは通っていた学校(障害児教育を行っている)に提出するために精神科を受診した)、通級学級や障害児教育専門の学校に行って教育を受けたこと、障害者雇用されたことなどとともに、その時点でできなかったこと(勉強、社会生活、人間関係など)を書きました。また、日常生活における状況(着替え、歯磨きや風呂、外出、友人関係などなど)の状況を記載する欄もありました。たとえば、電動ブラシを使って自分で歯磨きをしますが、週に一回程度は親が仕上げをしないと、磨き残しがあって虫歯にもなりました。このため、歯磨きは「一人でできる」ではなく「援助が必要」と書いています。それ以外の項目も「親の欲目」ではなく、少しでも援助・介助が必要ならその実態をありのままに書いたほうが良いようです。

    5. 知能検査結果
      療育手帳は何年かに1回は継続判定を受けなければなりません。最後の判定は18歳のときです。このときに受けた知能検査結果をもらって(判定を受けた心身障害者福祉センターに対して情報公開請求をして写しを受け取ったものです)添付しました。20歳より前に知的障害の状態にあったことを証明する資料になるようで、この資料を提出することは市役所の年金係の担当者から指示されました。

    6. 申請
      申請書一式をそろえて11月に市役所の年金係に提出しました。書類はそこから社会保険事務所へ送られて認定作業が行われます。市役所に書類を提出した時に「受付控え」をもらいましたが、そこには「年金証書が自宅に届けられるまでの期間は受付年月日から数えておおむね3ヶ月」と書かれていました。

    7. 認定
      1月のはじめに年金証書が送られてきました。精神発達遅滞で2級の判定でした。およそ3年後には再度診断書の提出が必要なようです。なお、息子は大動脈弁上狭窄症と大動脈弁逆流の心臓疾患があるので、こちらも合わせて障害者基礎年金の申請をしましたが心臓のほうは却下されました。

    8. やっておいてよかったこと
      障害基礎年金を申請するに当たり、やっておいてよかったことをまとめます。

      1. 療育手帳を取る
        先ほどで書いたように20歳前に障害が発生していることを証明できます。療育手帳を受け取ることは「公的機関から障害を認定されることになり、心情的に受け入れられない」、あるいは「療育手帳にはほとんどメリットが無い」という保護者のかたもおられますが、取れる状態ならばぜひ取っておくことを薦めます。

      2. 療育センターや養護関連の学校(今なら特別別支援学級)に通う
        治療や療育を行っていたことを客観的に呈示できます。

      3. 受診暦・療育暦などを記録しておく
        20歳になって申立書を書く歳に、10数年前のことを思い出すのは骨が折れます。また、添付したいのに診断書のコピーがないということも起こります。ぜひ記録をしておいてください。母子手帳に書いておくとよいでしょう。またお子さん専用のバインダーを用意して、その中に診断書のコピーなどをまとめて保存しておくと後々便利です。

      4. 学校の同級生の親のつながり
        障害基礎年金の申請に関していろいろ話を聞くことができます。誕生日の関係で先に申請をした、あるいは診断書をかいてくれる医者を紹介してもらうなど、今住んでいる地域の実情についていろいろ教えてもらえます。

    (20歳の男性、2010年)


  12. 障害基礎年金の更新をする

    No.11で障害基礎年金の申請について書きましたが、障害基礎年金をもらい始めて3年目を前(誕生日の約3ヵ月前)にして、市役所から診断書の提出を求める知らせが来ました。20歳前に発症した精神発達遅滞(知的障害)で障害基礎年金をもらっている場合、状態が変わっていないかどうかの確認をするそうです。障害基礎年金の申請時に知らされていた通りでした。

    市役所から来たお知らせには、医師に書いてもらう診断書が同封されていました。一か月後には提出する必要があります。「精神発達遅滞(知的障害)の場合は、かかりつけの小児科医に書いてもらっても良い」と書かれていたので、最初はいつも診てもらっている小児科医(息子は22歳で成人ですが、いまだに小児科にかかっています。その小児科医は、もと大学病院の小児循環器専門医でずっと診てもらっていましたが、開業されたのでそれ以降その小児科(ここには心エコー装置もあります)に通い続けています)に相談しました。「自分には書けない」ということで、障害基礎年金の申請時に診てもらった大学病院(その小児科医の出身病院でもあります)の精神科を紹介してもらいました。普通にその大学病院の精神科に初診を申し込むと2から3ヵ月待たされるとも聞きました。

    必用かどうかはわかりませんでしたが、18歳の時の知能検査結果(上記No11の5.を参照)を再度取り寄せて持っていきました。過去のカルテも参考にして診断書を書いてもらいました。「状態は20歳の時と変わっていない」という内容になっていたと思います。締め切りまでに市役所に診断書を提出することが出来ました。

    20歳を過ぎてからは精神科には縁がないと思いますので、早めに障害基礎年金の更新の準備をしておくと良いと思います。

    (追記)10月になって日本年金機構からお知らせの葉書が来ました。更新は認められましたが、「来年も診断書を提出すること」という指示が書いてありました。症状が確定していないと判断されたのでしょうか?

    (22歳の男性、2012年)


  13. 癇癪をおこさず我慢させる

    癇癪を起した子どもを鎮めるための実践的な方法を、「もちじゃむ」さんが紹介してくれました。下記に出てくる「じゃむぱん」さんは「もちじゃむ」さんの4歳の娘さんです。詳しくは
    「もちじゃむ」さんのブログをご覧ください。

    (4歳の女性、2015年)


  14. 障害基礎年金の更新をする(その2)

    No.11、No12で障害基礎年金の申請について書きました。3年目の診断書の再提出ののち、4年目、5年目と毎年の提出が続き、その後は2年に一回になり、7年目、9年目と続きます。今後どうなるかはわかりませんが、症状が固定化されたと判断されるまでは、定期的に再提出がありそうです。また、No12 では「誕生日の3ヵ月前に来る」と書きましたが、これは誤報でした、20歳前の初診による障害基礎年金の場合は、誕生日に関わらず必ず7月末が再提出の期限になるようです。

    紘輔の場合、ここ数回の診断書はNo12で紹介した小児科医に書いてもらっています。これで問題なく申請は通っています。個人病院なので診察を受けに行くのも簡単だし、長い付き合いなので診断書の作成をお願いするのも「気楽に」頼めます。小児科医のかかりつけを持つことも大切なことですね。

    (27歳の男性、2016年)


  15. 障害基礎年金の更新をする(その3)

    No14で書いた障害基礎年金の更新の季節がまたやってきました。これまでは障害状態確認届(診断書)は「誕生日に関わらず必ず7月末が提出の期限」でしたが、令和元年に、誕生月の末日を締め切りとするように制度が変更されました。これによって20歳前の傷病を起因とする障害基礎年金の障害状態確認届(診断書)の提出期限が、他の障害基礎年金の運用と同じになったとのことです。また、診断書に記載する障害状態も締め切り前の3か月間について記載することになり(これまでは1か月間)、障害状態確認届(診断書)の用紙は誕生月の約3か月前に送られてきます。10月生まれの紘輔の場合は7月末に届きました。また、コロナ禍で気軽に病院に行けない状況を考慮し、提出の締め切りに間に合わなくてもすぐに支給停止にはしないという特別措置もあるようです。

    現在のところ紘輔は障害基礎年金として年間780,900円(65,075円/月)が支給されています。これ以外に、障害基礎年金の対象者に支払われる年金生活者支援給付金(消費税を8%から10%に引き上げた2019年10月の増税に伴い創設されたものです)が月額5,030円振り込まれます。また、住んでいる市からは療育手帳保持者として一般障がい手当の月額4,000円ももらえるので、療育手帳・年金関連の月額給付額は、74,105円になります。紘輔が暮らしているグループホーム(2-1-73参照)の費用はこのお金で十分に賄えます。

    (31歳の男性、2021年)


  16. 障害基礎年金の更新をする(その4:今後診断書の提出は不要になった)

    No15で、障害基礎年金の更新のために障害状態確認届(診断書)を提出する話を書きました。いつもの小児科の先生に書いてもらって10月に提出し、12月の中旬になって審査結果が返ってきました。「障害の状況はこれまでと同程度と認められた」ということで、障害者年金は引き続きもらえることになりました。

    これまでだとこの通知の中に、「次回診断書提出時期は令和XX年YY月」という記載がありましたが、今回は「診断書不要」と書かれていました。つまり今後は診断書の提出は必要ではなく、年金に関しての変更がないかぎり、このまま一生の間、障害者年金をもらい続けられるということのようです。「診断書を誰に書いてもらうか」ということに頭を悩まさなくてもよくなるので親としても一安心です。

    今回出した診断書の内容で変わったことといえば、「グループホームに入った」ことと「年齢が30歳を超えた」ことぐらいで、障害を示す各項目の程度は変わっていません。障害年金をもらい始めて10年経ったが、障害の程度が「固定化した」「今後よくなる見込みはない」と判断されたということかなと想像します。

    なお、知的障害に関する診断書は、障害年金以外にも、障害者総合支援法にもとづいておこなわれる各種サービス(共同生活支援(グループホーム)、同行援助など)に関する受給者証をもらう判定の際にも必要になります。紘輔の場合は、これらの受給者証交付の際の診断書もいつもの小児科の先生に書いてもらっています。

    (32歳の男性、2021年)


  17. 親亡き後の生活費(相続税の障害者控除について)

    親亡き後に残された子どもの生活にかかるお金をどうするかは、親の共通的な悩みです。お金の管理をどうするかも大切な検討項目ですが、どうやってお金を残すかも考えておくといいですね。

    その際利用できる制度として、残すお金に関して支払うべき税金に対して、障害を持つ人を対象にした、優遇制度があります。対象は相続税と贈与税です。
    国税庁のホームページには以下の記述があります。

    相続税:
      相続人が障害者であるときは、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者のときは20万円)が障害者控除として、相続税額から差し引かれます。
    贈与税:
      特定障害者(※)の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者の方を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。

    贈与税の要件である「特別障害者以外の特定障害者」は「精神に障害がある方」とされていますので、ウィリアムズ症候群の子ども達が保有している知的障害者手帳だけでは対象にならないことが多いと思いますので、以下相続税の控除を利用するアイデアを記載します。

    知的障害者手帳(東京都では「愛の手帳」)を有するウィリアムズ症候群の子ども(以下W君)が32歳で、W君の父方の祖父が相続税が課税されるくらいの財産を持っていて、W君の将来の生活費のために遺産を渡したいと考えていた場合、相続税の障害者控除を利用できます。

    まず、W君を祖父の養子にします。一般的には父方の祖父の苗字は同じはずなので、養子にしても名前は変わらず実生活に支障は出ないはずです。これでW君は祖父の相続人になります。その後、相続が発生した際にW君に遺産を渡します。相続財産に対してW君が払うべき相続税額(W君は血縁的には子ではなく孫なので、相続税が1.2倍されます)から、(85−32)x10万円=530万円を差し引けます。相続税を0円にできる可能性もあるので、祖父の遺産を有効に活用できます。これは税額控除なので、遺産額に対する控除とは違って節税効果がとても高くなります。また、その際に余った控除額は、次回使うことも、同時に相続をすると想定されるW君の父親などの扶養義務者に適用することも可能です。

    (32歳の男性、2022年)


    相続後の戸籍ついて
      相続が終わったのち、祖父の養子となっている戸籍を元に戻すこともできます。基本的には養子離縁届を本籍所在地の役所に出しますが、相続後には養親が亡くなっているので、家庭裁判所に死後離縁許可の申し立てを行い、許可された場合の審判書謄本と確定証明書も併せて提出する必要があります。養子離縁届も死後離縁許可の申し立も、ネット上にある書き方事例を参考にすれば難しくはありません。なお、家庭裁判所が許可をするかどうかの判断根拠の一つに、「養親の祭祀を誰が行うか」という項目があります。
    (33歳の男性、2023年)




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