ウィリアムズ症候群
2008年3月1日と2日の2日間、三重大学・順天堂大学小児科が主催して東京で「Williams Syndromeが集う“音楽の森”」が開催されました。順天堂大学・こどもの城・FM東京を舞台に、アメリカのウィリアムズ症候群協会(Williams Syndrome Association:WSA)の事務局長であるTerry Monkaba(テリー・モンケイバ)さんと、息子さんでウィリアムズ症候群のドラマーBen君を迎えて、アメリカと日本の子ども達の交流を行いました。以下はテリーさんのプレゼンテーション資料です。
(2008年3月)
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共通する特徴
- 特徴的な顔貌 − まるで親戚のように見える
- 心臓と血管の障害
- 出生時の低体重/体重増加不良
- 幼児摂食障害
- 刺激されやすい(幼児期の重度の疝痛)
- 歯の異常
- 小さく、間隔が広い歯
- 循環器疾患に起因するエナメル質異常
ウィリアムズ症候群
- 過敏な聴覚
- 筋肉・骨格の問題
- 脊椎側弯症/脊椎後弯症/脊椎前弯症
- 筋緊張の不良
- 極端になれなれしい(過度の社会性)性格
- 発達遅滞、学習障害(LD)、注意欠陥障害(AD)
- 他の能力からは類推できないような音楽に対する情熱や思いがけない音楽性
幼児
幼児
- 体重増加が遅い
- 幼児期間の刺激されやすさ(重度の疝痛)
原因の1つとして考えられること
- 高カルシウム血症
- 循環器系疾患
- 赤ちゃんの成長とともに急に動脈狭窄が現われることも
初期の発達 − 幼児
- 聴覚過敏
- 筋肉運動機能の問題
- 発達遅滞
- 主要な発達の目安が平均にくらべて12ヵ月から18ヵ月遅れる
- 歩く:2歳から3歳
- 話す:3歳から4歳
- トイレトレーニング:4歳から5歳
初期の発達 − 幼児
- 極端になれなれしい(過度の社会性)性格
- 食べ物の好き嫌いが続く
- 音楽を好む傾向が現われることが多い
- 社会的接触を好む傾向が明らかになる
学齢期になったウィリアムズ症候群の子ども
- 学習障害
- 空間認知機能の障害
- 靴紐を結ぶ、あるいはボタンをはめることが非常に困難
- 算数の能力に重度の障害
- 一般的には優れた言語能力
- 卓越した物語を作る能力
- 読む力の発達は遅れるが、十分伸びる
- 意味の理解力は表現の理解力より劣る
- 筋肉運動能力の問題
学齢期になったウィリアムズ症候群の子ども
- 注意欠陥障害
- 課題に集中できない − 特に難しい問題の場合
- 無関係な音や動きを無視することができない
- 情動的要素が無いと課題に集中できない
- ウィリアムズ症候群の仲間との友情が重要
- 聴覚を利用した学習方法
- 他人を幸せにしようとする願望
10代の青年期から若い成人
- 発達や成熟度合いは典型的な同年代に比べて更に遅れる
- 集団にうまく加わることが難しい
- 社会性は適切さに欠ける
- 興味の範囲が同年代に比べて狭い
- 同年代のメンター(助言者)をつけることがとても役に立つ
10代の青年期から若い成人
- 不安や抑うつ傾向の増加
- 自分が他人と違っていることはわかっているが、何故かは理解できない
- 活動レベルが下がる
- 学校に行くことが役に立つ
- 継続的に新たな能力を身につける
ウィリアムズ症候群の成人
- 最初に援助を受けられる環境で生活する
- 家族から離れて生活する人が増えている
- 援助も一週間に数時間のレベルから常時行動を共にするレベルまで多様
- 地域社会で働く
- パートがほとんど
- 有給/無給(ボランティア)
- レストラン、老人ホーム、食料品スーパーが多い
ウィリアムズ症候群の成人
- 新たな健康問題
- エネルギーの低下
- 脊椎側弯症/脊椎前弯症
- 太りすぎ/糖尿病
- 胃腸系の病気
- 不安や抑うつ傾向が継続
ウィリアムズ症候群の人々
- ユニークなハンディキャプ、神からあたえられたユニークな才能
- 変わりつつある世の中にあって、きっと何かを成し遂げることができる。
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