娘の自主性:ほんのささいで長いお話



Our Daughter's Initiative : A Little Long Story

By Lyn Smith
Melbourne, Australia
"Heart to Heart" Volume 15, Number 3 December 1998 Page 24-25

14才でウィリアムズ症候群の娘エリン(Erin)は、この3年間学校にバスで通ってい ます。スクールバスなのですが、娘は0.5Kmほどの間を一人で歩き、信号のあるかなり交 通量の多い交差点を渡ります。歩いて帰ってくることに加えて、たいていの場合エリンが 家に帰ってくる最初の家族になります。1時間半ほどして夫のザック(Zac)や私が帰ってく るまでに、エリンと妹のハンナ(Hannah)はちょっとした家事を片付けてくれています。で もいつもというわけではありません!

エリンが帰った時にするべき最初の仕事は、私の仕事場に電話をかけて無事に帰宅し たことを伝えることです。エリンが降りるバス停のそばには、長年とてもよくしてくれる かかりつけの医者がいます。いろいろな機会を見つけては、毎日の出来事にうまく対処し ていると教えてくれます。ご両親ならわかると思いますが、このような話を聞くことはと ても嬉しいことです。

エリンは家まで我慢できないと感じた時には、何度もこの外科医を訪問してトイレの 鍵を借りていました。このことは私やザックが偶然に気が付く前から始まっていました!

昨日私は風邪気味だったので仕事を早退して家で横になって娘が学校から帰ってくる のを待っていました。帰宅が遅いのでエリンが乗ったバスが遅れているのだろうと思って いました。後でわかったのですが、その日学校で転んでふとももに青あざをつくりました。 バスを降りたときにもまだ違和感があったので心配だった様です。

それで外科医にところでトイレの鍵を借りる代わりに、エリンは受付で医者の診察を 受けたいと申し入れました。ことの次第はふとももに包帯を巻いて帰ってきたエリンが持 たされていたメモに書いてありましたが、もっと驚いた事には、エリンにとっては医者の 診察を受け、外科医が政府から診療費の支払いを受けるための書類にサインしていたこと が初めてではない事でした。

ザックと私はこの出来事を通じてエリンが家の外でもやっていけると実感できました。 特に、娘を理解し娘の言う事を聞いてくれる人々がいる地域社会の人々の援助があれば。

これから私達両親にとっての大きな課題は、我々が手にしている自由と自立をエリン に与えることです。もちろん彼女の妹にも同じ自由と自立を与えなければ行けません。エ リンは自分のしたこと、特に自主性を自慢に思っています。もちろん私達も同じです。し かし、彼女の気分を害する奇妙な「くすくす笑い」があることも事実です。娘は我々が「彼 女と」ではなく「彼女を」笑い者にしていると思っている、と確信しています。

(1999年8月)

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