子どもたちの健康が万全ではなくとも幸せは見つけられる
Finding Joy Even When Our Kids Aren’t Perfectly Healthy
“Heart to Heart” February 2011 Page 18
ダラス市のこども医療センターのがん専門医でありウィリアムズ症候群の子どもの父親であるポール・ハーカー−マーリー医師(Dr. Paul Harker-Murry)は特別な支援を必要とする子どもを育てることの大変さと幸せを理解しています。以下はこども医療センターのジャネット・エイカー(Janet Aker)によるインタビューです。
ハーカー−マーリー医師と成人の腫瘍学者である妻のエイミー(Amy)は、3人の子ども、4歳のマシュー(Matthew)、2歳のアレクサンダー(Alexander)、生まれたばかりのハリソン(Harrison)を育てています。マシューは4ヵ月の時にウィリアムズ症候群と診断されました。
ジャネット・エイカー:マシューが受けた診断は家族にとってどんな影響がありましたか?
最初は厳しいものでした。診断を聞いた週末は特にたいへんでした。だれもが自分の子どもに最も望むことは健康です。ウィリアムズ症候群に関して知っていた知識に基づいて私は妻に、「マシューは将来支援が必要になるかもしれない。でも、彼は笑い、走り、遊び、愛を知ることができる。幸せに満ちた人生が待っているよ」。私たち夫婦の強い結びつきを表しているのはお互いに次のように話しあれることです。「これからストレスを感じると思うけれども、お互いにストレスをかけあうことはやめよう。今回のことで自分たちの結びつきを強くできるよ」。私たちはいろいろな意味で幸せでしたし、最初こそ心が押しつぶされそうでしたが、現実問題としてはお互い医者である夫婦の家族としては発達障害を抱える子どもを育て上げなければいけません。そう考えて一歩を踏み出しました。
マシューは今4歳ですが愉快な男の子です。まるで顔中が口になったようなスマイルを見せて部屋の雰囲気を明るくしてくれます。彼は自分のペースで成長し、日々新しい課題ができるようになり、自分にとても自信を持っています。今でもつらい時はあります。たとえば、公園に行ってどれほど私たちが楽しい時を過ごしたとしても、同じ4歳の子どもたちとマシューの差異はいやでも目に入ります。その時には、「マシューは準備ができた時にできることをするようになるよ」、と何度も自分に言い聞かせます。彼が出来ないことに悩むのではなく、彼の存在そのものを愛しています。
ジャネット・エイカー:どうやって3人の子どもの世話と病院での先生の役割をやりくりしていますか?
とても難しい問題です。ときどきもっと長く時間働けばより良い医者になれると思いますが、仕事を早く切り上げればより良い父になり、マシューと過ごす時間が長くなり、マシューは成長の目安により早く到達できるのです。しかし、そうなると私は、ほかの子どもたちにも同等の気配りをしているだろうか、妻にも大切に思う敬意を払っているかどうかが気になります。私は様々な方向から引っ張られているように感じることがあります。しかし、これは仕事を持っている親であれば誰もが直面する課題です。基本的なこととして、私は家族を愛し、仕事を愛し、あらゆる分野で最善を尽くそうと思っています。
ジャネット・エイカー:特別な支援を必要とする子どもの両親へのアドバイスは?
私はまだ現在進行形です。まだ親になって4年しかたっていません。小児科医ではありますが、十分なアドバイスができるまでにはまだまだたくさんのことを学ぶ必要があります。地域の集まりやイベント(最近行われたウィリアムズ症候群の子どもと家族のためのピクニックのような)があれば参加することが良いことだと強く信じています。少なくとも参加することで、あなたは孤独ではなく地域社会の一員であると感じられるし、さらに私は同じような状況の家族から間違いなく多くのことを学びました。子どもたちのできないことや障害に注目するのではなく、子どもたちと一緒にいる瞬間瞬間に喜びを見出すこと以外に、私に素晴らしいアドバイスができるとは思えません。
この考え方は私たち夫婦ががん専門医であることに起因する部分があると思います。子どもや家族の一員をがんで亡くしている患者家族を知っています。今は妻と私は3人の子どもに恵まれ、愛があり助け合える関係を幸せだと感じています。ぐちをこぼすことなど考えられません。
(2011年3月)
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