日本において遺伝子疾患の子どもやその同胞に対して情報を告知した時の両親の態度と経験に関する調査



Survey on experiences and attitudes of parents toward disclosing information to children with genetic syndromes and their siblings in Japan.

金子 実基子(1), 大場 大樹(1), 大橋 博文(2).
Author information:
(1)埼玉県立小児医療センター遺伝科
(2)埼玉県立小児医療センター遺伝科 ohashih@peach.ocn.ne.jp.
Sci Rep. 2022 Sep 8;12(1):15234. doi: 10.1038/s41598-022-19447-3.

両親の多くは、自分の子どもに対してその遺伝子疾患を、何時、どのように、何を告知するかについてのジレンマに直面する。本研究の目的は、遺伝子疾患の子どもに内容を告知した時の両親の経験を学ぶことである。遺伝子症候群(22q11.2欠失症候群、ベックウィズ・ウイーデマン症候群、ヌーナン症候群、ラッセル・シルバー症候群、カブキ症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群、ソトス症候群)の子どもや青年の両親378組に対して質問票を送付した。多肢選択質問に対する記述統計法を用いて分析した。調査対象の両親の内、158組(41.8%)が質問紙に回答した。遺伝子疾患の子どもの平均年齢は12歳である。67組の両親が子供に対して適切な情報をオープンにしていたが、91組はそうではなかった。彼ら(情報を回答してくれた)の内、53組は遺伝子疾患の子どもに同胞がおり、50組は同胞に対して遺伝子疾患の情報をオープンにしていた。疾患の子どもに遺伝子疾患の情報を伝えていない91組の両親のうち、68組は将来子どもに伝えることを計画していた。病気を告知した両親の多くはこのことを後悔していない。彼らは遺伝子疾患について話し合ったことを良かったと感じ、告知後も病気の子どもと遺伝子疾患について語り合い続けている。本研究は遺伝子疾患の子どもに病気を告知することに対する両親の態度を我々が理解する手助けになる。

 (2022年9月)



目次に戻る