アマンダさんのスピーチは学校内で一位になっただけでなく、オンタリオ州キングス
トン市内(Kingston,Ontari)の学校の代表が集まって2月13日に開催されたスピーチコ
ンテストでも優勝したそうです。
(2000年2月)
すべては弟のマシューが生まれた日に始まりました。彼には生まれつき口蓋垂(Uvula)
がありませんでした。これは喉の奥でぶらぶらしているものだということはみんな知って
いますね。でもマシュ―にとっては、これが無いことがすぐに問題になりました。口蓋垂
が無いと口の奥にぽっかりと空間ができてしまいます。このためにほ乳ビンから授乳する
ことが難しくなりました。口の奥は、食べ物や飲み物が鼻に入っていかないようになって
います。マシュ―は上手に飲み込むことを覚えるのに時間がかかったので、生まれて最初
の3週間を病院で過ごさなければなりませんでした。その後、やっとのことで8年間待ち
つづけた弟が家にやってきました。
5ヶ月になるまではすべてうまくいきましたが、その後彼はよく泣くようになり、ミ
ルクを欲しがらなくなりました。我が家のかかりつけの医者は、彼を大きな病院に連れて
いって小児科医にみせるようにと母に勧めました。小児科医は子供だけを見る医者で、開
業医より子供の病気をよく知っていると思われました。病院の医者たちもよくわからなか
ったので、マシュ―を入院させることにしました。いろいろ詳しい検査や診察を行いまし
た。入院して1ヶ月ほど経ってから弟はウィリアムズ症候群だということがわかりました。
両親も私もこの病気のことは聞いたこともありませんでした。25000人の赤ちゃんに
1人の割合でこの病気の子が生まれるので、あまり知られていません。医者は身体の中に
ある染色体の小さなかけらが失われたのが原因だと言います。私たちは何万と言う遺伝子
を持っていますが、その中のたった1でも異常になると、私たちにはなんらかの問題がお
こります。
マシュ―は成長が遅れ始めています。例えば、もうすぐ2才になるのにまだ歩けませ
ん。言葉も普通の子供よりずっと遅れて出始めます。成長するにつれて覚えていくいろい
ろなことを身に付けるのにもずっと時間がかかります。またウィリアムズ症候群の子供た
ちは、私たちとはちょっと違う顔付きをしています。例えば、目の回りがはれぼったくな
っていて、大きな口と厚い唇やかわいく上を向いた鼻をしています。マシュ―の場合、彼
の特別大きな口のために笑顔がすてきです。
今は胃まで通じているチューブを通してミルクを与えています。このお蔭で健康を保つ
のに十分な量の粉ミルクを確実にあげることができます。ほ乳ビンからも少しは飲みます
が、お腹いっぱいにはできません。
ウィリアムズ症候群の子供たちの良いところは、音楽に関する特別の才能があること
や、出会った誰とでもすぐ仲良くなれることです。彼らにとってはすべての人が友達です。
弟の将来がどうなろうと、両親と私は弟のそばにいます。私たちが物事を違う視点か
ら見られるように、神さまはハンディキャップを持った子供達をこの世に送りこまれたの
だと信じています。私をマシュ―の姉に選んでくれたことに感謝しています。私とマシュー
には確実な共通点が一つあります。それは私たちがお互いのことをとてもとても愛している
ということです。
話しを聞いていただいて、ありがとうございました。