親切な行動



アメリカのウィリアムズ症候群協会(WSA)の会報に掲載されていた記事です。

(2000年12月)

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A Simple Act of Kindness

By Candace Jones, age 15(sister of Seana, age 13 with WS)
"Heart to Heart", Volume 17 Number 3, September 2000, Page 24

「人生で大切なことはお互いのかかわり方です」。この前妹と動物園に行ったときに聞 いたこの言葉ほど痛切な言葉はありません。親切であることは大事なことです。なぜなら 出会う人みんながもっとつらい試練と戦っているからです。

13歳の妹シーナはウィリアムズ症候群という遺伝子疾患を持って生まれました。その おかげで、私達家族の人生観も変わったし、他の人々を見る目も変わりました。2,3週間前 のことですが、養護教育を受けている子どもたちやウィリアムズ症候群のおとなの人たち と一緒に動物園に行きました。決して忘れることの出来ない経験でした。そこで学んだこ との中に「親切」がありました。まる1日を動物園で過ごしました。すばらしい1日でし た。ずっと晴れていて、暑くもなく寒くもないちょうどいいお天気でした。

妹と私が動物園に着いたとき、入り口の外で両親に連れられた子どもが3,4人待って いました。子どもたちは笑顔で立っているだけでしたが、動物園に入ったときよりわくわ くしていました。10才くらいに見えるジェイソン(Jason)という名前の男の子が最初に妹に 近づいてきました。

「君もウィリアムズ症候群を持っているの?」と、病気の話ではなく、まるで指輪や ブランド品のことのようにたずねました。「そうよ」と、オリンピックの金メダルでも持っ ているかのように誇らしげに妹が答えました。その会話を聞いていて、彼らは障害を持っ ている子どもたちではなく、人生を切り開いていこうをしている子どもたちで、私と変わ らないんだと感じました。ただ、「普通」という世間の常識があるために、彼らは笑われた り批判されたりしているだけなのです。このことは教えられたり学んだりして身につける のは難しいと思いました。回りのみんなが私と同じように考えて欲しいと私が思っても、 不可能に近いと思います。私にできる一番いいアドバイスは、自分が他の人からして欲し いと思うことを常にやってあげなさい、ということです。誰も笑われたりからかわれるこ とは好きではありません。他人には正しいことをしてあげなければいけません。人生にお いて誰もが欲しい、手に入れたいと願っていることは愛されることです。

出会った人みんなに親切であることはとても大切なことです。その人たちがどんな苦 労をし、どんな重荷を背負っているかわからないからです。「親切にすべきだ」という教え はまさに経験から学んだことです。自分をよりよい人間にする大切な教訓を学んだと思い ます。自分が学んだことを少なくとも一人の人に伝えられれば、私は「親切の輪」だけで はなく「愛の輪」のくさりの一つになれます。



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