また、専門医や他の障害者支援団体の役員からの情報として次のような指摘もありました。
『 ここで使われている言葉(うつ傾向)は遺伝性躁鬱病のこと(精神病)としての鬱とは
異なる環境による(内因性でなく外因性)表現型であり、知的障害者が社会参加していく過程
で生じる(ウィリアムスだけに限らず)ごくありふれた傾向だとのことでした。 養護学校や
授産所を経て就労に至ると親の保護から離れていかに自分が理解されにくい、また受け入れ
られにくい存在であるか思い知ったり、好きなひとができて結婚したい、家庭をもちたいと
願って努力しても叶わなかった場合など原因は様々です。』
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Personality characteristics and behaviour problems in individuals of different ages with Williams syndrome.
Gosch A; Pankau R
Research Centre for Prevention and Intervention in Childhood andAdolescence,
University of Bielefeld, Germany.
Dev Med Child Neurol (ENGLAND) Aug 1997, 39 (8) p527-33, ISSN 0012-1622
Languages: ENGLISH
Document type: JOURNAL ARTICLE
年齢別グループの性格的特徴と行動障害を詳細に研究するために、105人のウイリアムス症
候群の人達の両親に質問状に対する回答を記入してもらった。そこには、性格を特徴付け
る25の形容詞と、18個の問題行動がリストに挙げられていた。10才未満の子供、10才か
ら20才の青年、20才を超える成人の3つのグループに分けて比較が行われた。ウイリアム
ス症候群の成人のグループはでは、子供のグループに比べて、快活ではない(less lively)・
確信的(determined)・活動的(active)・落ち着きがない(restless)・涙もろい(tearful)・
口論好き(quarrelsome)・生意気(impertinent)・人なつこ過ぎる(over-friendly)、という
特徴がある。さらに、青年と成人は、子供よりもバランスが取れて(better balanced)おり、
内向的(withdrawn)だと評価されてた。女性は男性よりも、涙もろく(tearful)口論好き
(quarrelsome)であると同時に、快活さ(cheerful)や幸福感(happy)に欠ける。しかし、こ
れらの結果は統計的な傾向を示しているに過ぎない。3つの年齢別グループが性格的側面
から区別できるかどうか差違分析が行われた。ウイリアムス症候群の人達の86%は、正確に
グループ分けできることが判明した。最もうまく分類できた特徴(形容詞)は、活動的
(active)・快活(lively)・バランスが取れている(well balanced)・内向的(withdrawn)・
人なつこ過ぎる(over-friendly)・精力的な(vigorous)であった。個人ごとの報告書に書か
れていた行動障害の合成結果を計算した結果からは、年齢や性別による違いは見られなか
った。しかし、個々の行動障害の比較によれば、年齢が増加するとともに、対外的に攻撃
的な行動(external aggressive behaviours)の減少と、うつ的な症状が重くなる(greater
depressive symptoms)傾向がある。