ウィリアムズ症候群:初診内科医向けの最新評論



Williams-Beuren syndrome: an update and review for the primary physician.

Lashkari A, Smith AK, Graham JM Jr
Steven Spielberg Pediatric Research Center, Ahmanson Pediatric Center, UCLA
School of Medicine.
Clin Pediatr (Phila) 1999 Apr;38(4):189-208

ウィリアムズ症候群は、7番染色体長腕上の隣接する遺伝子群が顕微鏡分解能以下の大き さで欠失したことが原因の常染色体優勢遺伝病である。この病気は次にあげるような明確 な身体的特徴を伴っている。独特の容貌特質、循環器系異常(その中でも、大動脈弁上狭 窄がもっとも多い)、多くはないが特発性の高カルシウム血症などである。さらに、精神遅 滞ではあるが言語能力や顔認識は比較的維持されているという独特の認知プロフィールを 持つ。この論文では、同症候群の初期の経過と臨床経験に関して、乳児期から成人までど のように変化していくか、また臓器別の発生状況について評論する。ウィリアムズ症候群 の患者に発生する発達的・医学的な個々の問題点について、事実に基づいた勧告 (Evidence-based recommendations)を提案する。

(1999年6月、2000年11月訂正)

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以下は本文中「Daignosisi(診断)」の項(206)ページから抜粋

臨床的にウィリアムズ症候群と診断されながらFISH検査の結果エラスチン遺伝子の欠失が 確認されなかった63人をウィリアムズ症候群協会が追跡調査したところ、17人は幼少時に 遺伝科の判別診断で本症候群の可能性を指摘されていたにもかかわらず、遺伝子検査を受 けていなかった。別の3人は、新聞などで報道されたウィリアムズ症候群の記事を読んだ 両親によって診断されていた。残りの患者が診断に至った背景は様々である。12人は他の 症候群と確定診断を受けたか、その疑いが持たれている。22q11領域欠失を示すFISHテス トの結果からvelo-cardio-facial syndromeが2人 、Noonan syndromeが1人、Smith-Magenis syndromeが2人、FG syndromeが1人、Kabuki syndromeが1人、Coffin-Lowry syndrome の疑いが1人、Simpson-Golabi-Behmel syndromeの疑いが1人、Fetal Alcohol syndrome が2人、Fragile X syndromeが1人である。さらに子ども3人(5%)は孤発性大動脈弁上狭 窄症であり、子ども2人の表現型はウィリアムズ症候群と非常に似通っていた。

(1999年11月修正、2000年11月修正)

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