ウィリアムズ症候群:小児科面、神経面及び認知面の発達



Williams syndrome: Pediatric, neurologic, and cognitive development.

Carrasco X, Castillo S, Aravena T, Rothhammer P, Aboitiz F.
Instituto de Ciencias Biomedicas, Facultad de Medicina, Universidad de Chile & Servicio de Neurologia, Hospital de ninos Luis Calvo Mackenna, Santiago, Chile.
Pediatr Neurol. 2005 Mar;32(3):166-72.

本研究ではFISH検査で陽性となった32人のウィリアムズ症候群患者の発達暦を調査した。この資料は早期診断や同症候群の患者へ適切な刺激を与える手助けを目的としている。ここで報告する調査対象者においては、同症候群の疑いがあった患者のうちでFISH陽性は約半数しかいなかった。このため顔貌異形症はこの同症候群と診断できる確実な徴候にはならない。最初に発見さえっる小児科的徴候は発達の遅れと夜間の被刺激性である。診察では顔貌異形症と心雑音がみられる。出生時の低体重、体重が増えない、母乳養育ができない、胃食道の逆流などもみられた。これらの徴候すべてがウィリアムズ症候群の可能性を強く示唆している。循環器系の検査が次の段階となる。我々の調査結果によれば、これまでウィリアムズ症候群診断の基本とされてきた乳児性高カルシウム血症・顔貌異形症・大動脈弁上狭窄の三症候は、普遍的に存在しておらず早期診断にはつながらないことを示唆している。同症候群のこどもの認知面は、超社会性・昇格過敏・視覚的構造能力の障害・注意欠陥多動性障害を特徴とし、ときには自発的に音楽への興味を示すこともある。特筆すべき言語能力はない。本研究の結果から、言語や音楽的才能に恵まれているというウィリアムズ症候群患者のイメージは全体像を正しく示していないと思われる。

(2005年2月)



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