ウィリアムズ症候群



一章 病気の種類と解説
新版 心臓病児者の幸せのために(病気と制度の解説)
2005年4月 118-120ページ
全国心臓病の子どもを守る会編

7番染色体q11.23の微細欠失を原因とし、臨床的には心奇形、成長障害、精神遅滞、特異な認知障害を特徴とする奇形症候群です。診断は臨床症状と合せて、FISH法によって欠失を確認します。大動脈の弁上狭窄はこの7q11.23領域に存在するエラスチン遺伝子の欠失が原因と考えられています。そのほか、特徴的な認知パターンもこの領域に存在する遺伝子の欠失が原因とされています。発生頻度は、約1万から2万出生に1例です。

心血管病変は約70%〜80%に合併し、大動脈弁上狭窄が特徴的で、半数以上に認められます。末梢性肺動脈狭窄も多く、肺動脈弁狭窄、僧帽弁逸脱、心房中隔欠損、心室中隔欠損を伴うこともあります。末梢性肺動脈狭窄は成長とともに軽快傾向にありますが、大動脈弁上狭窄は進行傾向があります。また、冠動脈狭窄による突然死にも注意が必要です。上述のエラスチンの異常による全身状態を考慮する必要があり、ほかに腎動脈狭窄、成人例での高血圧症、脳動脈狭窄などが挙げられます。

乳児期には、哺乳障害や体重増加不良などが目立ちます。胃食道逆流、便秘、直腸脱など消化管障害は健康管理上重要です。乳児期に特徴とされる高カルシウム血症は、実際には15%程度にしかみられないようです。成長とともに改善傾向をみますが、思春期ごろに再発することがあります。幼児期には成長の加速がありますが、それでも70%の児は3パーセンタイル以下とされています。思春期は、一般健常児よりやや早めに発来しますが、個人差もあります。

精神運動発達は個体差が大きく、重度の遅れから軽度の遅れまで幅が広とされています。性格は多弁、社交的ですが、注意力にかけることがあります。だれとでも親しくなれる社交性に富む性格は97%で認められます。また、言語能力に比べ、視空間的認知障害や時間・距離などの数学的概念の理解が困難であることが目立ちます。感情面では不安感が強く、年長時ではカウンセリングなども必要に応じて導入するのも一つの手段です。また、言語療法も取り入れます。眼科的には斜視のほかに、屈折異常も認められるため、眼科検診は必要です。音に対する過敏性は85〜95%に認め、とくに突然の騒音(車のエンジン音など)に対しては、突然泣き出したり、耳をふさぐような素振りを見せます。年齢とともに慣れは出てきますが、年長児では大きな雑音が聞こえてくる前に本人に知らせてあげることも必要で、不安感を軽減できます。歯科的問題も多く、とくに咬合不整は86%に及びます。ほかに、欠歯、エナメル低形成、歯間拡大もあり、定期的な検診・治療が必要です。

このように、合併症は全身に及ぶために、やはり本症候群も小児科専門医ないしは臨床遺伝専門医による検診が必要で、新生児乳児期には少なくとも3ヵ月ごと、幼児期には3ヵ月から6ヵ月ごと、それ以後も6ヵ月から1年ごとの定期健診は考慮すべきです。そして、成人期も、本症候群に理解のある医療機関での定期的医療管理が必要と思われます。

サポートグループも最近では複数あり、情報リソースとして有用となることがあります。

(2006年4月)



目次に戻る