ウィリアムズ症候群患者の糖と脂質の代謝、骨密度、身体組成
Glucose and Lipid Metabolism, Bone Density, and Body Composition in Individuals with Williams Syndrome.
Shaikh S(1)(2), Waxler JL(3), Lee H(4), Grinke K(5), Garry J(5), Pober BR(3), Stanley TL(1)(6).
Author information:
(1)Program in Nutritional Metabolism, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA.
(2)Drexel University College of Medicine, Philadelphia, PA.
(3)Division of Genetics, Department of Pediatrics, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA.
(4)Department of Biostatistics, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA.
(5)Clinical Research Center, Massachusetts General Hospital, Boston, MA.
(6)Pediatric Endocrine Unit, Department of Pediatrics, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA.
Clin Endocrinol (Oxf). 2018 Aug 12. doi: 10.1111/cen.13829. [Epub ahead of print]
目的:
稀少な微細欠失障害であるウィリアムズ症候群患者の身体組成、骨塩量、糖と脂質の代謝を評価した。
設計:
ウィリアムズ症候群患者がマサチューセッツ総合病院で外来検査を受けた。対照群は全米健康栄養検査調査(National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES 2005-2006))から選択した。
患者:
ウィリアムズ症候群患者22人と、NHANESから年齢・性別・人種を一致させた4種類の対照群。
検査:
血液標本、経口糖負荷試験、 二重エネルギーX線吸収測定検査(DXA)。
結果:
ウィリアムズ症候群と対照群は女性が59%であり年齢は29歳±8歳である。対照群と比較して、ウィリアムズ症候群患者は身長が低いが体重は同程度あり、脂肪が多く除脂肪量は少ない。体脂肪率はBMIで調整した後においてもウィリアムズ症候群のほうが高い(+2.1% [95% CI 0.4, 3.9%])。4人のウィリアムズ症候群患者は四肢の脂肪蓄積が異常に低く、脂肪性浮腫に似ている。 HbA1c (+0.5% [0.2, 0.7])と2時間糖(+68mg/dL [44, 93])は対照群に比べてウィリアムズ症候群で高く、BMIで調整した後においてもその差は変わらない。空腹時血糖は両グループで同等であった。LDL (-18mg/dL [-35, -2])とトリグリセライド(中性脂肪)は ウィリアムズ症候群で有意に低い。全身骨塩量はウィリアムズ症候群で有意に低く(-0.15g/cm2 [-0.20,-0.11])、この差は身長で調整した後も残る(-0.06 g/cm2 [-0.11, -0.02])。ビタミンDはウィリアムズ症候群患者の81%が30ng/mL未満であった。
結論:
平均的に、ウィリアムズ症候群の成人は脂肪を蓄積し、除脂肪量は少なく、糖恒常性に異常があり、 骨塩量は少ない。筋肉量や骨量を増やし、ビタミンD充足を確実にする臨床的努力が求められる。遺伝子型−表現型に関する研究も必要である。
(2018年8月作成)
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