ウィリアムズ症候群の2症例の臨床および遺伝子特徴



Clinical and genetic characteristics of two cases with Williams-Beuren syndrome.

Wang LX(1), Leng J(1), Li ZH(1), Yan L(1), Gou P(1), Tang F(1), Su N(1), Gong CZ(1), Cheng XR(1).
Author information:
(1)Department of Pediatric Endocrine Genetics and Metabolism, Chengdu Women's and Children's Center Hospital, School of Medicine, University of Electronic Science and Technology of China, Chengdu, China.
Transl Pediatr. 2021 Jun;10(6):1743-1747. doi: 10.21037/tp-21-161.

本稿はウィリアムズ症候群の2症例について報告する。両症例とも患者は精神遅滞、特徴的な顔貌、間接的鼠経ヘルニアを有していた。症例1は2歳5か月の女児で高カルシウム血症を有し、症例2は4歳11か月の男児で点頭てんかんの症状を示すとともに大動脈弁上狭窄と肺動脈狭窄を有していた。脳のMRI画像診断の結果では両症例とも異常は発見されなかった。症例2の脳波にはヒプスアリスミアは現れていない。症例1の高カルシウム血症と低身長はビスホスホネートとソマトロピンを用いて治療が行われた。症例2は抗てんかん薬を服用しケトン食療法を受けていた。両症例とも7q11.23領域の欠失があり、そこには精神遅滞に関連している可能性があるGTF21遺伝子の断片欠失も含まれている。特筆すべきは症例2においてYq11.23領域で921.1kbの欠失が検出されたことであり、ウィリアムズ症候群でこれまで報告されていない。Yq11.23領域の欠失はAZFc遺伝子座を含んでいる。この遺伝子は無精子症や精子欠乏症を主因とする男性不妊の重要な要素である。症例1の高カルシウム血症の発症はBAZ1B遺伝子の欠失に関連している可能性があり、他方で大動脈弁上狭窄や肺動脈狭窄はELN遺伝子の欠失と関連している。この症候群の理解をさらに深めるために臨床および遺伝子特徴を探索する。

訳者注: (2021年8月)



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