ウィリアムズ症候群領域の非典型的な欠失は視空間処理機能と自閉症に関連した遺伝子を含む
An atypical deletion of the Williams-Beuren Syndrome interval implicates genes associated with defective visuospatial processing and autism.
Edelmann L, Prosnitz A, Pardo S, Bhatt J, Cohen N, Lauriat T, Ouchanov L, Jimenez Gonzalez P, Manghi ER, Bondy P, Esquivel M, Monge S, Fallas M, Splendore A, Francke U, Burton BK, McInnes LA.
Mount Sinai School of Medicine, United States.
J Med Genet. 2006 Sep 13; [Epub ahead of print]
背景:
自閉症の遺伝子研究を行う過程で、自閉的傾向の判断基準に合致するとともに、ウィリアムズ症候群に合併する認知行動プロフィールを有する女児を確認した。ウィリアムズ症候群の認知行動プロフィールには視空間処理能力の障害、過剰に友好的な正確、過度の非社会的不安、言語の遅れなどが含まれる。
手法:
アレイCGH(array-based comparative genomic hybridization)を用いて、ウィリアムズ症候群欠失領域の遠位側にあるBAC RP11-89A20の相当する欠失を発見した。半接合はFISH法で確認し、定量的PCR法を用いて遺伝子DNAの反復回数を測定することで詳細マッピングを行った。
結果:
近位のブレイクポイントはGTF2IRD1の第1イントロンに、遠位のブレイクポイントはそこからテロメア側へ2.4〜3.1Mb離れた場所に定位された。被験者は、ウィリアムズ症候群における典型的な1.5Mbの欠失に共通し含まれているGTF2Iと、ウィリアムズ症候群では珍しい1.84Mbの欠失に含まれているGTF2IRD2が完全に半接合であった。
結論:
この結果から、転写因子であるGTF2ファミリーの半接合がウィリアムズ症候群の認知行動プロフィールを呈するのに充分であること、特に、視空間構成障害にはGTF2転写因子が関連していることを示している。本症例における自閉症徴候は典型的なウィリアムズ症候群領域の外側に存在する別の遺伝子に起因するか、修飾をうけた他の遺伝子座の影響を受けている可能性がある。
(2006年9月)
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