ウィリアムズ症候群における神経的及び認知的徴候に対するCYLN2とGTF2IRD1の寄与



Contribution of CYLN2 and GTF2IRD1 to neurological and cognitive symptoms in Williams Syndrome.

van Hagen JM, van der Geest JN, van der Giessen RS, Lagers-van Haselen GC, Eussen HJ, Gille JJ, Govaerts LC, Wouters CH, de Coo IF, Hoogenraad CC, Koekkoek SK, Frens MA, van Camp N, van der Linden A, Jansweijer MC, Thorgeirsson SS, De Zeeuw CI.

Department of Clinical Genetics and Human Genetics, VU University Medical Center, PO Box 7057, 1007 MB Amsterdam, The Netherlands.

Neurobiol Dis. 2006 Dec 20;

ウィリアムズ症候群は染色体7q11.23領域において25個から30個の遺伝子が半接合欠失していることを原因とする疾患である。これらの遺伝子の中には、細胞質リンカータンパク質115(CYLN2)や基本転写因子(GTF2I及びGTF2IRD1)など脳で発現するものがいくつか存在し、ウィリアムズ症候群患者にみられる神経的及び認知的障害に寄与している可能性がある。部分的欠失をもつウィリアムズ症候群患者に関する最近の研究ではGTF2Iの半接合がウィリアムズ症候群の精神遅滞に寄与していることを示唆している。本稿ではCYLN2とGTF2IRD1がウィリアムズ症候群の運動や認知障害に寄与しているかどうかを調査した。STX1AとLIMK1は欠失しているがCYLN2とGTF2IRD1は欠失していない新たな患者の行動を評価したところ、この患者の認知機能や運動協調機能は典型的なウィリアムズ症候群患者に比べると有意に優れていた。CYLN2とGTF2IRD1だけを選択的にノックアウトしたマウスで比較分析したところ、脳梁のサイズが小さいことや、運動協調機能や海馬による記憶形成の障害はCYLN2の欠失の影響であり、脳室容積が大きくなっているのはCYLN2とGTF2IRD1の両方の寄与が考えられる。ウィリアムズ症候群の運動機能や認知機能の障害は多くの遺伝子の影響が考えられ、CYLN2の半接合欠失もこれらの機能異常に重要な寄与をする遺伝子のひとつであると我々は結論付けた。

(2007年2月)



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