ウィリアムズ症候群遺伝子座の組換え:会話及び言語発達に関する分子的基礎と関連
Rearrangements of the Williams-Beuren syndrome locus: molecular basis and implications for speech and language development.
Osborne LR, Mervis CB.
Department of Medicine, University of Toronto, Ontario, Canada.
Expert Rev Mol Med. 2007 Jun 139(15):1-16.
ヒトの染色体7q11.23にあるウィリアムズ症候群遺伝子座は、複雑な染色体特異的な低反復領域に隣接しており、この領域が反復的組換えを媒介している。共通して見られるゲノム組換えは減数分裂時の不等組換えを原因とし、複雑だが特徴的な行動及び認知表現型をもたらす。7q11.23の欠失がウィリアムズ症候群の原因であり、短期記憶や言語は比較的優れており視空間構造認知が非常に劣る軽度から中程度の知的障害や学習障害、その他不安症、注意欠陥多動性障害、過度のなれなれしさなどが特徴である。一方、重複の場合は会話及び言語表出に著しい遅滞があるが、視空間構造認知は比較的維持される。ウィリアムズ症候群領域の欠失と重複はまったく異なる効果があるが、言語障害を形作ることから、この領域の遺伝子はその量がヒトの会話や言語の正常な発達に敏感に影響を与える可能性を示唆している。7q11.23領域の遺伝子組み換え発生の範囲や頻度はヒトの会話や言語発達に直接影響を与える遺伝子を特定できる例外的な機会を与えている。
(2007年6月)
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