FISH法によるWilliams症候群の出生前診断



北谷 真潮 1)、尾崎 守 1)、高瀬 悦子 1)、高橋 弘明 1,2)
1) 金沢医科大学総合医学研究所人類遺伝学研究部門・臨床
2) 金沢医科大学小児科
臨床遺伝研究(Med. Genet. Res.)Vol.19 No3,4 103-109ページ, 1998

 ウィリアムズ症候群は染色体7q11.23領域上にあるエラスチン遺伝子(ELN)の半接合を原因とする。エラスチン遺伝子座のモノソミーは、染色体組換えを伴うような稀な症例を除いて、細胞遺伝学的な方法では検出できない。リンパ芽球細胞に対してWilliams症候群領域用のプローブを用いたFISH法(Fluorescence in situ Hybridization)を用いることがウィリアムズ症候群の確定診断に有用であることが示されている。第一子がウィリアムズ症候群であった両親からの要請に応じて出生前診断を実施した。妊娠15週で採取した羊水細胞の染色対分析の結果は46,XXであった。FISH法によるエラスチン遺伝子座を含む7q11.23領域の半接合は、第一子では確認されたが、羊水細胞では確認されなかった。妊娠を継続し、健康な子どもが生まれた。

(2008年1月)



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