7q11.23にある重複領域のコピー数の変異がウィリアムズ症候群欠失の要因である可能性がある



Copy number variation at the 7q11.23 segmental duplications is a susceptibility factor for the Williams-Beuren syndrome deletion.

Cusc? I, Corominas R, Bay?s M, Flores R, Rivera-Brugu?s N, Campuzano V, P?rez-Jurado LA.
Genetics Unit, Department of Experimental and Health Sciences, Universitat Pompeu Fabra, Barcelona 08003, Spain;
Genome Res. 2008 Mar 27 [Epub ahead of print]

コピー数変異(Large copy number variants(CNVs))がヒトゲノムの構造的多型の一形態として最近発見されているが、その生物学的影響はまだわかっていない。コピー数変異はセグメント重複領域や低コピー反復(low-copy repeats(LCRs))領域で有意に多く発見されている。ウィリアムズ症候群は7q11.23領域の半接合欠失で連続した遺伝子が欠けたことを原因とする神経発達疾患である。欠失は巨大な低コピー反復領域間で起こる非対立相同組換え(nonallelic homologous recombination(NAHR))によって発生し、その領域の構造的変異が発生を促進している。およそ2Mbの動原体部を含まない染色体逆位がウィリアムズ症候群の子を持つ親の20〜25%にみとめらてた。本稿では、ウィリアムズ症候群の子を持つ親180人のうちの8人(4.44%)に、低コピー反復に大きな染色対欠失を伴ったコピー数変異がみられた。ウィリアムズ症候群の子を持たないヒトや対照群においてはコピー数変異の発生率はもっと低い(1%, n = 600)。これはウィリアムズ症候群欠失の病因であることを示している(オッズ比 4.6倍, P = 0.002)。低コピー反復重複はウィリアムズ症候群の子を持つ親では2.22%にみられるが対照群では1.16%であり、統計的な優位さは無いもののウィリアムズ症候群の子を持つ親において増加している。我々はこれらのコピー数変異の組成とブレークポイントを決定しておよそ100から300KbのゲノムDNAまで絞り込んだ。そこにはいくつかの偽遺伝子は存在したが、機能を有する遺伝子はなかった。当該領域でさらなる構造的変異が同定されたが、これは異なる重複領域ブロック間における非対立相同組換えによってもたらされた。我々のデータは、ウィリアムズ症候群遺伝子座のような重複領域で多くみられる非常に動的な構造をもつ領域が存在することを示すと共に、大きなコピー数変異は親において病気に関連する遺伝子組み換え対立遺伝子の原因になりうることを示唆している。

(2008年4月)



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