WSTF(Williams syndrome transcription factor)は神経堤細胞と心臓の発生に必須である
吉村 公宏、北川 浩史、古谷 喜幸、八木 寿人、松本 高広、松岡 瑠美子、加藤 茂明
東大分生研、科学技術振興機構ERATO、東京女子医科大学IREIIMS
第2回 IREIIMS公開シンポジウム 抄録集 89ページ(2006年12月)
我々は新規クロマチンリモデリング複合体WINAC(WSTF including nucleosome assembly complex)複合体を単利し、構成因子であるWSTF(Williams syndrome transcription factor)を同定した。WSTFはWilliams syndromeという心血管系を始めとする様々な奇形を伴う常染色体優性の遺伝病の病因候補遺伝子のひとつである。本研究ではクロマチンリモデリング複合体の生体内機構を解析するためにWSTF遺伝子視欠損マウスを作製し、その変異を詳細に解析した。WSTF-/-マウスはメンデルの法則どおり出生するものの生後2日目までに全個体が死亡した。そこで、新生児マウスの組織学的な検討を行った結果、WSTF-/-マウスはWilliams syndromeと同様の心血管奇形を示すことが明らかになった。これらの形態異常は既に胎生9.5日から観察され、さらに心臓形成と移動後の神経提細胞の機能に必須なマーカー遺伝子の発現がWSTF-/-マウスで顕著に減少していた。以上の結果より、WSTFを介してWINAC複合体が心臓・神経提細胞特異的な遺伝子プロモーター上にリクルートされ、クロマチンリモデリング活性を制御することによってその遺伝子の転写調節を行っていることが初めて明らかになった。
(2008年11月)
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