ウィリアムズ症候群の遺伝子的基礎



The genomic basis of the Williams - Beuren syndrome.

Schubert C.
Institute of Human Genetics, Georg-August-University of Goettingen, Heinrich-Dueker-Weg 12, 37073, Goettingen, Germany, cschube@gwdg.de.
Cell Mol Life Sci. 2008 Nov 26. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群はゲノム疾患(有病率:1/7500〜1/20,000)であり、染色体7q11.23領域の隣接遺伝子半接合欠失を原因とする。典型的な兆候は大動脈弁上狭窄症、精神遅滞、過度のなれなれしさ、視空間障害などである。共通的な欠失サイズは1.5〜1.8M塩基対(Mb)であり、およそ28個の遺伝子を含む。ごく一部の遺伝子のみで遺伝子型−表現型関連が把握されている。この領域で最も調査が進んでいる遺伝子がエラスチンであり、このハプロ不全が原因で動脈狭窄がおこる。ウィリアムズ症候群の単一コピー領域(〜1.2Mb)は低反復コピー(Low Copy Repeats (LCR))からなる反復性配列に隣接している。減数分裂期間にこの反復性配列が不整合を起こすことを起因とし、低反復コピー領域が非常に似通っていることから起こる不等交差につながって欠失が発生する。本総説はウィリアムズ症候群領域におけるゲノム組成、染色体再構成やそのメカニズム(欠失・重複・逆位など)を概要し、進化と歴史的側面にも言及する。

(2008年12月)



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