ウィリアムズ症候群に関連するTFII-I遺伝子の胚発生における重要な機能



Essential functions of the Williams-Beuren syndrome-associated TFII-I genes in embryonic development.

Enkhmandakh B, Makeyev AV, Erdenechimeg L, Ruddle FH, Chimge NO, Tussie-Luna MI, Roy AL, Bayarsaihan D.
Department of Reconstructive Sciences, University of Connecticut Health Center, Farmington, CT 06032;
Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Dec 24. [Epub ahead of print]

多機能転写制御因子TFII-IとBENをコードしているGTF2IとGTF2IRD1は、複合多器官神経発達障害であるウィリアムズ症候群において半接合欠失している7q11.23領域でクラスターを形成している。TFII-Iファミリー転写制御因子はその生化学的性質が詳細に研究されているにもかかわらず、この因子が正常な胚発生に必要とされる経路に対してどのように貢献しているかはほとんど知られていない。ここで我々は、Gtf2ird1あるいはGtf2iのどちらかがホモ欠失すると、マウスにおいては胚性致死・脳出血・血管や頭蓋顔面や神経管の欠陥につながることを示す。さらに分析したところ、卵黄内の脈管形成や血管形成の障害が胚性致死を引き起こすことを示唆している。マイクロアレイデータによれば、Gtf2ird1半接合の表現型は主としてTGFbetaRII/Alk1/Smad5シグナル伝達経路に含まれる複数の遺伝子の障害に起因している。この経路におけるGtf2i不活性化の影響はそれほど顕著ではないが、血管性シグナル伝達の悪化を引き起こす血管内皮増殖因子受容体2遺伝子の下方制御は、Gtf2i突然変異表現型の重症度を悪化させると思われる。Gtf2ird1とGtf2i異型接合体のサブセットは、小頭症、成長遅滞、骨格および頭蓋顔面異常を呈することから、TFII-Iたんぱく質のハプロ不全がウィリアムズ症候群に合併する様々な発達異常の原因であることを示している。

(2008年12月)



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