精神遅滞症候群の原因となるいくつかの微小欠失を検査する臨床診断検査法2種類の比較:MLPA法とFISH法
Comparing Two Diagnostic Laboratory Tests for Several Microdeletions Causing Mental Retardation Syndromes: Multiplex Ligation-Dependent Amplification vs Fluorescent In Situ Hybridization.
Cho EH, Park BY, Cho JH, Kang YS.
Greencross Reference Laboratory, Yongin, Korea. ehcho@mail.gcrl.co.kr.
Korean J Lab Med. 2009 Feb;29(1):71-6.
背景:
通常の細胞遺伝学的分析法では検出できない微小欠失が原因不明の精神遅滞患者の5%程度で発生しているという報告がある。したがって精神遅滞患者に対しては、これらの精神遅滞症候群に関するスクリーニングを行うことが重要である。精神遅滞特異的MLPA法(Mental retardation syndrome multiplex ligation-dependent probe amplification (MRS-MLPA))は配列量を測定できる新しい技法であり、複数の微小欠失症候群(1p36欠失症候群、ウィリアムズ症候群スミス−マグニス症候群、ミラー−デイッカー症候群、ディジョージ症候群、プラダー−ヴィリ症候群、アラジル症候群、セスレ症候群(Saethre-Chotzen syndrome)、ソトス症候群)を同時に処理できるため、臨床検査作業量を大幅に削減できる。
手法:
MLPA法(オランダのMRC-Holland社製)における微小欠失症候群の検出精度を、FISF法による検査結果と比較した。FISH法で確定診断された微小欠失症候群の患者12名(ディジョージ症候群3名、ウィリアムズ症候群4名、プラダー−ヴィリ症候群4名、ミラー−デイッカー症候群1名)に対してMLPA分析を実施した。
結果:
MLPA分析法の結果は微小欠失症候群の患者12名に関しては、FISH法の検査結果と完全に一致した。
結論:
この結果から、MLPA法は正確で、信頼性があり、費用対効果が高いことから、微小欠失症候群のスクリーニングにおいてFISH法の代替になりうると結論付けた。
(2009年3月)
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