ヒトDNA損傷応答と修復異常症候群:ゲノムの不安定性と細胞周期チェックポイント成熟の関連
Human DNA damage response and repair deficiency syndromes: Linking genomic instability and cell cycle checkpoint proficiency.
Kerzendorfer C, O'Driscoll M.
Human DNA Damage Response Disorders Group, Genome Damage & Stability Centre,University of Sussex, Falmer, Brighton, East Sussex, BN1 9RQ, UK.
DNA Repair (Amst). 2009 May 25. [Epub ahead of print]
臨床的に特徴のあるヒトの疾患の多くはその背景にDNA損傷に対する反応や修復に障害が存在している。この疾患の一連の臨床症状はDNA損傷応答(DNA damage response (DDR))、すなわちゲノムの安定性や免疫系反応やヒトの正常な発達など、が果たす役割に関する証拠を提供する。これらの疾患から得られた培養細胞株は、DDRが分子レベルで損傷を受けた場合の影響を分析するための貴重な情報源となる。DNA損傷と細胞周期チェックポイントの間の機能的相互作用に異常をもつ疾患で、著名なもの、あまり知られていないもの、新規なもの中からいくつかについて検討を行う。DNA損傷応答と細胞周期進行とセントロソーム の間の相互作用を解明する上でさらに重要な役割を果たす、ゼッケル症候群、小頭性骨異形成性原発性小人症U型(microcephalic osteodysplastic primordial dwarfism type II)の遺伝子的基盤についての最近の進歩について記述する。さらにDNA損傷応答コンポーネントのハプロ不全に関して進展があった研究成果、およびそれに関連する疾患である、ミラー・ディーカー滑脳症候群とウィリアムズ症候群について記述する。最後に、DNA損傷応答の異常がどのようにして予想外の臨床症状に影響をあたえるのかを述べた後、DNA損傷応答異常の本質がこれらの疾患をもつ患者の管理や治療にどのような影響を与えるかについても記述する。
(2009年6月)
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