FISH法を用いたWilliams症候群におけるHPC-1/Syntaxin1A遺伝子の欠失の有無の検討



松岡瑠美子(1)、中山高宏(2,3)、木村美佐、浅川修一(4)、広田浜夫(1)、今村伸一郎(5)、高尾篤良(1)、門間和夫(1)、清水淑子(6)、赤川公朗(2)、清水信義(4)
(1) :東京女子医大・循小 (2):杏林大・医・2生理 (3):東大・医科研・化学
(4):慶応大・医・分生 (5):東京女子医大・心研研究部 (6):杏林大・保・臨遺伝
1997年秋期 日本人類遺伝学会抄録195ページ (C78)

HPC-1/Syntaxin1Aは、神経特異抗原として発見された形質膜結合蛋白質であり、神経細胞 では、伝達物質の開口放出並びに神経発芽に関わるある種の神経可塑性制御因子として機 能しているとも考えらている。この遺伝子は、マッピングの結果、染色体7q11.2領域に存 在していることが判明した。この領域は妖精様顔貌、大動脈弁上狭窄などの心疾患と特有 の認識パターンを有するWilliams症候群(WS)における欠失領域に一致している。現在まで に、WSの原因遺伝子として同領域に存在するエラスチン、LIMK1遺伝子が確認されている が、いまだに特有の認識パターンを規定している原因遺伝子が未解明のままである。そこ で本遺伝子とWSとの関連を明らかにするため、エラスチンを含む領域の欠失を認めたWS 患者46例と欠失の認められなかった2例の計48例についてFISH法を試みた結果、エラス チンを含む領域の欠失を認めたWS患者46例全例で、 HPC-1/Syntaxin1A遺伝子の半接合体 欠失が確認され、一方欠失の認められなかった2例で本遺伝子の欠失は認められなかった。 これらの結果より、開口放出関連蛋白HPC-1/Syntaxin1Aは、WSの特有の認識パターンの原 因遺伝子である可能性が強く示唆された。)

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(1998年3月)

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この論文とほぼ同じ著作者及び同じ内容と思われるの論文が下記専門紙に投稿された。

(1998年10月)

Cytogenet Cell Genet 1998;82(1-2):49-51



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