重度の言語表出、行動問題、異形症、精神遅滞を呈する患者におけるウィリアムズ症候群領域の3重化



A triplication of the Williams Beuren Syndrome region in a patient with mental retardation, a severe expressive language delay, behavioural problems and dysmorfisms.

Beunders G, van de Kamp JM, Veenhoven RM,van Hagen JM, Nieuwint AW, Sistermans EA.
J Med Genet. 2009 Sep 14. [Epub ahead of print]

染色体内3重化は希少な染色体転移である。3重化の症例で、その表現型は同じ領域の2重化を呈する患者と同じかさらに重度である。7q11.23に位置するウィリアムズ症候群領域は染色体転移しやすい。この部分に発生することが多い欠失はよく知られているウィリアムズ症候群の原因となる。相反性2重化(The reciprocal duplication)は27家系だけで記録されており、軽度の精神遅滞を有する発語遅滞、自閉症、軽度の異形症などの変化に富んだ表現型を合併する。時々まったく正常な両親からウィリアムズ症候群領域の2重化が見つかることから、2重化が病原性因子となることに対する疑問が生じた。今回我々はウィリアムズ症候群領域の広い範囲に3重化がみられる最初の症例を報告する。本件はアレイCGHで探知し、MLPAとFISHで確定診断を行った。表現型特徴としては、精神遅滞、重度の発語遅滞、行動問題、異形症を含む。これらの特徴は、2重化患者と顕著に一致していることが多いが、一部はより重度である。浸透率は完全ではないものの、ウィリアムズ症候群領域の増幅が疾病の原因となる現象であるというアイデアを、今回の発見は支持している。

(2009年10月)



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