7q11.23領域の部分的欠失はGTF2IとGTF2IRD1をウィリアムズ症候群神経認知プロフィールの主要責任遺伝子として結び付ける
Partial 7q11.23 deletions further implicate GTF2I and GTF2IRD1 as the main genes responsible for the Williams-Beuren syndrome neurocognitive profile.
Antonell A, Del Campo M, Magano LF, Kaufmann L, Martinez de la Iglesia J,Gallastegui F, Flores R, Schweigmann U, Fauth C, Kotzot D, Perez-Jurado LA.
Universitat Pompeu Fabra, Spain;
J Med Genet. 2009 Nov 5. [Epub ahead of print]
背景:ウィリアムズ症候群は循環器系狭窄・顕著な顎顔面形特徴・特徴的な神経認知プロフィールを有する精神遅滞・内分泌系および結合組織の異常などに代表される多臓器に症状が現れる発達疾患であり、染色体7q11.23領域の26から28個の遺伝子を含む1.55Mbに及ぶ反復性欠失が原因である。いくつかの論文で報告されている臨床・分子相関分析によれば、非典型的な患者はいくつかの遺伝子がウィリアムズ症候群表現型の特定側面に主として関係していることを示すのに有用である。
患者と方法:我々は部分的な表現型と非典型的な7q11.23欠失を有する新たな2家系について研究を行った。欠失は正確に塩基レベルでも、発現レベルでも同定されており、影響を受けている隣接遺伝子の一部はリンパ芽球細胞系列だと査定された。
結果:患者は種々の循環器系と結合組織の症状、かすかな顎顔面形特徴があり、視空間構成能力は正常だが平均知能は低く、内分泌異常はない。NW1家系の欠失は11個の遺伝子(CLDN3-GTF2IRD1)を含む817Kbであり、NW2家系は14個の遺伝子(VPS37D-RFC2)を含む610Kbである。典型的な欠失でも非典型例でも、GTF2IRD1を除くすべの欠失遺伝はリンパ芽球細胞系列における発現レベルが低いことが判明した。CLIP2もすべての患者で発現レベルが低いが、欠失範囲の外に存在しているNW2だけが例外である。それ以外の欠失していない遺伝子は対照群と比較しても発現レベルにおいて顕著な差異は無い。
結論:これまでに報告された症例と合わせて考えると、これら2家系における臨床・分子相関分析の結果は、GTF2I +/- GTF2IRD1遺伝子の機能的半接合欠失は、ウィリアムズ症候群における神経認知プロフィール及びウィリアムズ症候群の心理過程の統一的な全体構造(ゲシュタルト:gestalt)表現型の主原因であることを証明している。
(2009年11月)
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