ドイツ人ウィリアムズ症候群患者の両親におけるウィリアムズ症候群責任領域7q11.23の逆位多型の発生頻度は母集団と比較して有意な増加は見られない
No significantly increased frequency of the inversion polymorphism at the WBS-critical region 7q11.23 in German parents of patients with Williams-Beuren syndrome as compared to a population control.
Frohnauer J, Caliebe A, Gesk S, Partsch CJ, Siebert R, Pankau R, Jenderny J.
Labor Lademannbogen, Professor Rudiger Arndt Haus, Lademannbogen 61-63, 22339
Hamburg, Germany. jenderny@labor-lademannbogen.de.
Mol Cytogenet. 2010 Nov 5;3:21.
背景:
典型的なウィリアムズ症候群は染色体領域7q11.23における1.5Mbから1.8Mbの隣接遺伝子の半切合欠失が原因である。ウィリアムズ症候群の大部分は孤発性であるが、数少ない常染色体優性遺伝の家系に関する報告がある。最近のデータによれば、患児に欠失染色体を受け渡した親の中には、7q11.23にあるウィリアムズ症候群責任領域における無動原体逆位多型が存在することを示している。ウィリアムズ症候群の子どもを持つ親にでは、このような構造的変異体を有する発生頻度が母集団(1〜6%)に比べて高い(25〜30%)という報告がある。しかし、これまで報告された研究は無作為に抽出されたごく限られた数の患者しか対称にしていない、またウィリアムズ症候群の患者に染色体を受け渡していない親を対照群に選んでいるが、詳細な臨床データは添付されていない。そこで、我々はドイツ人母集団を対象とした分子細胞遺伝学的研究を行った。リンパ球の静止期神経核を対象として3色FISHプローブを利用して7q11.23における無動原体逆位多型の発生率を調査した。
結果:
ウィリアムズ症候群患児の両親と、正常な個人からならなる母集団サンプルにたいしてFISH法分析を実施した。対照群T:二人の正常な子どもを持つ両親、対照群U:妊娠障害をかかえているカップル、対照群V:二人の正常な子どもと一人の染色体異常(7q11.23ではない箇所)の子どもを持つ両親である。3色FISH法分析によれば、7q11.23における無動原体逆位多型の発生率は、ウィリアムズ症候群患児を持つ両親の場合は20.8%(24ペア中で4ペア)であるが、他は8.3%(対照群T、24ペア中2ペア)、25%(対照群U、16ペア中4ペア)、9.1%(対照群V、11ペア中1ペア)であった。(13.8%、51ペア中7ペア)。グループ毎に発生率は異なっているが、この差は統計的には有意ではない(フィッシャー検定 p>0.05)。
結果:
我々が得た結果は、7q11.23における無動原体逆位多型がウィリアムズ症候群欠失の主要病因であるという仮説を支持しない。
(2010年12月)
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