ウィリアムズ症候群はエピゲノム調節因子疾患である



Williams syndrome is an epigenome-regulator disease.

北川 浩史, 藤木 亮次, 吉村 公宏, Oya H, 加藤 茂明.
東京大学分子細胞生物学研究所
Endocr J. 2011 Jan 14.

SWI/SNFコンポーネントとDNS複製関連因子から構成されるヒトの多たんぱく質複合体(WINAC)はウィリアムズ症候群転写因子(WSTF)を通じてビタミンD受容体(VDR)と直接相互作用を行い、ATP依存クロマチン再構成活性(ATP-dependent chromatin remodeling activity)を有することが確認されている。新たに見つかったこのATP依存クロマチン再構成複合体は、ATP依存クロマチン再構成活性と活性因子がDNAに付着するためのプロモーター標的特性が存在することで活性かされると一方でVDR媒介により不活性される。さらにこの複合体の内部において、ウィリアムズ症候群転写因子はWINACや、同じATP依存クロマチン再構成複合体の一種でhSNF2hを含むWICHの活性をオンにする細胞間シグナルを感知するシグナルセンサーの機能を提供する。WSTF欠乏マウスを作ることで、ウィリアムズ症候群患者でみられる心臓疾患の一部やカルシウム代謝異常が、WSTF欠乏によるクロマチン再構成活性の異常に起因することが判明した。この結果、我々はウィリアムズ症候群をエピゲノム調節因子疾患と命名することを提案する。

(2011年1月)



目次に戻る