ウイリアムス症候群の患者の7番染色体長腕7qの間質欠失と幼児期痙攣



Interstitial deletion of chromosome 7q in a patient with the Williams syndrome and infantile spasms

K.Mizugishi、K.Yamanaka、桑島 克子:茨城県立こども福祉医療センター
近藤 郁子:愛媛大学医学部
アメリカ人類遺伝学会 1997年 年次総会 抄録 細胞分化学:ポスター No.765

ウイリアムス症候群(WS)と幼児性痙攣を持つ4歳の男児は、細胞分化的研究によって7 番染色体の7q11.23-q22領域の間質が欠失していることが判明した。患者の母親由来の染色 体から、エラスチン遺伝子(ELN)と多型DNAマーカー(D7S1870, D7S2490, D7S2518, D7S2421 を含む)の欠失が確認されたが、D7S653とD7S675の遺伝子座は含まれていなかった。

ウイリアムス症候群は、特徴的な容貌・社交的な性格・大動脈弁上狭窄(SVAS)に代表さ れる先天的心疾患・乳児期の高カルシウム血症等によって明確に特徴つけられる発達障害が ある。ウイリアムス症候群の患者は、ELN,LIM-Kinase1(LIMK-1),D7S1870の欠失が共通し て見られるが、D7S2490, D7S2518,D7S2421が含まれることはない。ウイリアムス症候群の 患者が発作を起こすことは共通した特徴ではない。一方で、7q11.23-q22の間質欠失を持っ た16例中の6例で脳波異状や発作が観測され、2例では幼児性痙攣も見られた。幼児性痙 攣の病因は異質であるが、表現型と遺伝子型の相関から考えると、幼児性痙攣の原因となる 遺伝子はD7S1870とD7S675の間の2.7cMの部分に存在する可能性が示唆される。

(1998年3月)

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