ウィリアムズ症候群患者におけるLIMK欠損症と聴覚過敏および進行性難聴との関連



Linking LIMK1 deficiency to hyperacusis and progressive hearing loss in individuals with Williams syndrome.

松本 希, Kitani R, Kalinec F.
九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学
Commun Integr Biol. 2011 Mar;4(2):208-10.

ウィリアムズ症候群(あるいはウィリアムズ−ビューレン−症候群)は多臓器疾患であり、LIMキナーゼ1(LIMK1)を含む26個余りの遺伝子が含まれている7q11.23領域にある1.6Mbの半接合を原因とする。ウィリアムズ症候群患者は聴覚過敏や進行性難聴を呈することがあり、聴覚過敏が早期に発症することで欠失している遺伝子のひとつとの関連が疑われている。蝸牛外有毛細胞や蝸牛増幅などの運動性反応の調節においてLIMキナーゼが果たす重要な役割に関する我々の研究成果によると、蝸牛外有毛細胞におけるLIMK1の発現量減少がウィリアムズ症候群患者でみられる聴覚過敏および進行性難聴の根底にある原因であることが想定される。さらに、LIMKが媒介する蝸牛外有毛細胞の遅運動性の調節に基づく蝸牛増幅のゲインコントロールに関する新しいモデルを提案する。

(2011年6月)



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