ウィリアムズ症候群におけるコピー数変動:発展途上国に適した診断方法
Copy number variation in Williams-Beuren syndrome: suitable diagnostic strategy for developing countries.
Dutra RL, Honjo RS, Kulikowski LD, Fonseca FM, Pieri PC, Jehee FS, Bertola DR, Kim CA.
BMC Res Notes. 2012 Jan 9;5(1):13. [Epub ahead of print]
背景:
ウィリアムズ症候群(WBS; OMIM 194050)は7q11.23領域に存在する隣接遺伝子の微小欠失による半接合が原因である。大動脈弁上狭窄症(SVAS)、精神遅滞、過度のなれなれしさがウィリアムズ症候群の典型的な症状である。FISH法がもっとも信頼できる手法だと考えられているが、マイクロサテライトDNAマーカーやMLPA法(multiplex ligation-dependent probe amplification)もウィリアムズ症候群診断の確定に利用できる可能性はある。
結果:
ウィリアムズ症候群の可能性があるとの臨床診断をうけた88名のコホート集団に対して、5種類のマーカー(D7S1870, D7S489, D7S613, D7S2476, and D7S489_A)と商用MLPAキット(P029)を用いて評価を行った。微小欠失は64人(72.7%)の患者に存在し、24人(27.3%)の患者にはみられなかった。欠失の両親由来は、母親からが64人中36人(56.3%)で、父親からが64人中28人(43.7%)だった。欠失サイズは患者64人中57人(89.1%)が1.55Mbであり、患者64人中7人(10.9%)は1.84Mbだった。この結果は、マイクロサテライトマーカーに情報価値がなかった4人の患者を除いて両手法が一致していた。欠失サイズと両親由来のどちらにも関連する臨床差異はなかった。
結論:
MLPA法は単一測定法のなかではより迅速でより経済的な手法であり、一方のマイクロサテライトマーカーはウィリアムズ症候群の欠失の大きさと両親由来の両方を決定できる。マイクロサテライトマーカーとMLPA法はウィリアムズ症候群の欠失確定に効果があり、両手法とも主として発展途上国に有用な診断手法を提供する。
(2012年1月)
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