「家族性」対「孤発性」知的障害:共通的な微小欠失および微小重複症候群の影響
"Familial" versus "Sporadic" Intellectual Disability: Contribution of Common Microdeletion and Microduplication Syndromes.
Rafati M, Seyyedaboutorabi E, Ghadirzadeh MR, Heshmati Y, Adibi H, Keihandoust Z, Eshraghian MR, Javadi GR, Dastan J, Mosavi-Jarrahi A, Hoseini A, Purhoseini M, Ghaffari SR.
Mol Cytogenet. 2012 Jan 29;5(1):9. [Epub ahead of print]
背景:
中間部の微小欠損と微小重複に起因する症候群は孤発性知的障害の顕著な原因になると提案されているが、これらの異常が家族性知的障害に及ぼしている影響は調査されていない。一般的に平衡型染色体異常が反復型知的障害や重複先天性異常を引き起こすことから、本研究は家族性知的障害の患者においてこれらの中間部異常が影響があるかどうかを評価することを目的としている。相互に血縁関係がなく第一度親族に2人以上の知的障害者が存在するイラン人101家系から328人の患者を抽出して調査した。MLPA( Multiplex Ligation-Dependent Probe Amplification)手法を用いて21種類の共通的な微小欠失および微小重複症候群を検査した。
結果:
調査対象の家系でにおいて、27.78%は第一度親族に4-12人の知的障害者が存在し、35.6%で3人、36.6%で2人であった。ウィリアムズ症候群の常染色体優性遺伝が1家系で発見されたが、ウィリアムズ症候群の臨床症状はみられない。この結果微小欠失および微小重複症候群の罹患率は0.99%であった。
結論:
本研究は大規模な家族性知的障害患者を対象として微小欠失および微小重複症候群を検査した初めての研究である。本研究の結果からは、中間部異常が孤発性知的障害には顕著な影響を与えているにもかかわらず、家族性知的障害患者では罹患率が低いことを示している。このことは家族性知的障害患者が不必要な診断検査を受けなくとも良いことを示唆する重要な実践指針となる。
(2012年2月)
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