患者のiPS細胞によるウィリアムズ症候群の循環器系表現型のモデルとレスキュー
Modeling and Rescue of the Vascular Phenotype of Williams-Beuren Syndrome in Patient Induced Pluripotent Stem Cells.
Kinnear C, Chang WY, Khattak S, Hinek A, Thompson T, de Carvalho Rodrigues D, Kennedy K, Mahmut N, Pasceri P, Stanford WL, Ellis J, Mital S.
Department of Pediatrics and.
Stem Cells Transl Med. 2012 Dec 21. [Epub ahead of print]
ウィリアムズ症候群におけるエラスチンのハプロ不全は循環器系平滑筋細胞の増殖と狭窄を増やす。我々の目的はウィリアムズ症候群表現型の試験管内における評価と表現型をレスキューする媒介物の試験を行うためにヒトiSP細胞モデルを生成することである。ヒトiSP細胞は、大動脈狭窄と肺動脈狭窄を有するウィリアムズ症候群患者の皮膚の神経芽細胞からと、堅強な対照群のBJ神経芽細胞から、4要素のレトロウィルス再プログラム法を用いて再プログラムされ、平滑筋細胞に分化させた。分化した平滑筋細胞は合成エラスチン結合タンパク質リガンド2(EBPL2)(20 μ g/ml)あるいは抗増殖性薬ラパマイシン(rapamycin)(100 nM)で5日間に会わたって処理された。4種類のウィリアムズ症候群iPS細胞系列を生成し、それらは多能性遺伝子が発現しすべて三胚葉に分化した。直接分化させたBJ iPS細胞は85%-92%が純粋な平滑筋細胞集団を生成し、分化平滑筋細胞マーカを発現して3次元のゲル法の上で管状の構造を形成した。BJ iPS細胞とは異なり、ウィリアムズ症候群iPS細胞は増殖性が非常に高い未成熟な平滑筋細胞を形成し、分化平滑筋細胞マーカの発現レベルが低く、カラバコールやエンドセリン1(carbachol and endothelin-1)などの血管刺激薬への反応が低減し、動脈管の形成に障害があり、カルシウム流動(calcium flux)が減少していた。EBPL2は部分的に、ラパマイシンは完全に、平滑筋増殖率を減少させ、分化と管の形成を促進することで異常な分化平滑筋細胞表現型をレスキューする。ウィリアムズ症候群iPS細胞から導出された平滑筋細胞は、機能的および収縮性質が減少しているという未成熟な増殖表現型を示していることから、ヒトの疾患表現型を再現している。ラパマイシンの表現型をレスキューする能力は循環器系狭窄を併発するウィリアムズ症候群患者に対する魅力的な治療候補となる。
訳者注:レスキュー=正常遺伝子導入によって変異体の表現型が回復すること。
(2013年1月)
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