ショウジョウバエのagnostic遺伝子座:ウィリアムズ症候群の認知障害形成への関わり
The Drosophila agnostic Locus: Involvement in the Formation of Cognitive Defects in Williams Syndrome.
Nikitina EA(1), Medvedeva AV(2), Zakharov GA(2), Savvateeva-Popova EV(2).
Author information:
(1)Pavlov Institute of Physiology RAS, nab. Makarova, 6, 199034, St. Petersburg, Russia ; Herzen State Pedagogical University, nab. r. Moyki, 48, 191186, St. Petersburg, Russia.
(2)Pavlov Institute of Physiology RAS, nab. Makarova, 6, 199034, St. Petersburg, Russia ; Saint-Petersburg State University, Universitetskaya nab., 7-9, 199034, St. Petersburg, Russia.
Acta Naturae. 2014 Apr;6(2):53-61.
ゲノム異常を引き起こす病理学的プロセスにおかる分子学的基礎は無脊椎動物と哺乳類で共通である。ウィリアムズ症候群における認知障害はLIMK1の半接合を原因とするので、ショウジョウバエのlimk1遺伝子に起こる自発的な突然変異変化は、同症候群に見られる3種類の特徴的な認知障害から導出される2種類の診断特徴の研究のモデルを提供できるのであろうか? 2種類の診断特徴とは、視空間定位の障害と、見知らぬ人と一対一の交流を行っている時の他人の顔への類を見ない強い凝視である。最初の認知症状への実験的アプローチはショウジョウバエの幼虫が置かれた環境の中を探索する際の視空間定位を含む歩行行動の分析が対応する可能性がある。2番目の症状を探るアプローチは求愛行動(儀式の最初の段階ではオスがメスに向かって定位することであり、続いてメスはメスのイメージを凝視する)中のオスとメスの自然な接触行動を分析することである。ショウジョウバエのagnostic遺伝子座における自発的な突然変異変化歩行行動と認知レパートリーに関する現在の研究はlimk1遺伝子の構造変化と行動の間の橋渡しになる可能性がある。
(2014年8月)
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