Williams症候群における欠失範囲の大きさと発達遅滞の重軽度との関係
柳橋 達彦1)、小崎 健次郎2)、小崎 里華3)、吉橋 博史4)、井原 正博5)、高橋 孝雄1)
慶應義塾大学小児学科1)
慶應義塾大学臨床遺伝学センター2)
国立成育医療研究センター遺伝診療科3)
小児総合医療センター臨床遺伝科4)
済生会宇都宮病院小児科
日本小児科学会雑誌 第116巻 (2012) 第2号 112ページ
【背景】
Williams症候群は7q11.23領域における1.4-1.6Mb の微細欠失を原因とし、心奇形、特融の顔貌、認知機能障害を呈する。症状の重症度には個人差が存在し、同領域の欠失範囲と認知機能の重症度との関係が注目されている。
【方法】
FISH法によりWilliams症候群 と確定診断されている患者14名を対象として、アレイCGH法による欠失範囲の同定、および認知機能検査を行った。
【結果】
約4Mbの非典型的欠失を認めた患者の発達指数は20未満で、他の患者の平均(50)に対して有意に定置であった。心奇形、特有の顔貌を認め3歳までの臨床症状はWilliams症候群に合致する結果であったが、その後5歳時に有意語を認めず、より重度の精神発達遅滞の経過を示した。
【考察】
Williams症候群の責任領域の近傍には神経修復に関与するHSPB1始め、神経発達に関連する遺伝子が複数含まれる。現在Williams症候群の診断にはFISH法を用いることが一般的だが、非典型的な発達経過を示す患者の中に、広範囲の欠失を有する場合があるため、アレイCGH法による欠失範囲の同定が予後の予測に有用な可能性がある。
(2014年11月)
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