22q11.2や7q11.23欠失の基点において高い確率で発生する減数分裂不等交差



High level of unequal meiotic crossovers at the origin of the 22q11.2 and 7q11.23 deletions.

Baumer A, Dutly F, Balmer D, Riegel M, Tukel T, Krajewska-Walasek M, Schinzel AA
Institute for Medical Genetics, University of Zurich, CH-8001 Zurich,Switzerland,
Service for Medical Genetics, Porto Alegre, RS, Brazil and Department of Pediatrics,
University of Istanbul, Turkey and 4The Children's Memorial Health Institute, 04-36 Warsaw, Poland
Hum Mol Genet 1998 May;7(5):887-894

22q11.2や7q11.23における染色体中間部の欠失は、それぞれCHATCH22症候群やウ イリアムス症候群の患者の大多数から見つかってる。15人のウイリアムス症候群の患者グ ループにおいて、染色体間組替えに伴って7q11.23の欠失が数多く発生していること、及び この事実が2本の相同7番染色体間の不等交差の発生を示唆している、という報告を既に行 った。本研究では、CATCH22に関係する22q11.2欠失の背景に同様のメカニズムがあること を示す。 祖父母のハプロタイプ(一倍体の遺伝子のセット)の分離分析を実施した結果、 CATCH22の発端者の10家族のうちの8家族から、まさしく欠失領域における減数分裂時の 組替えが発生していることが明らかになった。欠失の基部側にも遠位側にも近接する識別マ ーカ間の交差の発生頻度を、マーカ間の組替え頻度の予想値と比較した。CATCH22の患者に おいて、欠失の切断点でかなりの数の組み替えが行われていた(P=2.99x10(-7))。家族3 世代にわたるハプロタイプの分離分析を、対象数を増やしてウイリアムス症候群のケースに ついても実施した(全22ケース)。統計的に有意な数の減数分裂時の交差が認められた (P=4.45x10(-9))。これは先の発見の正しさを示している。このように、減数分裂不等交 差の発生が、両症候群の染色体中間部の欠失発生に重要な役割を果たしていることが明らか になった。

正常な両親にとっては、減数分裂の組替え時に欠失が再発する可能性は事実上無視で きることが示されている。この発見は、22q11.2や7q11.23の欠失の発生のほとんどが散発 的であるという事実と一致する。欠失の由来や染色体間や染色体内の組み替え発生に関して、 両親に原因があったことを示す特別の傾向は両グループとも観察されなかった。

−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−

「通常、ウイリアムス症候群は突発的に発生する」、「健康な親には、ウイリアムス症候群 につながるような原因は発見できなかった」、ということが書かれています。

(1998年5月)

目次に戻る