ウィリアムズ症候群患者と健康な人のエラスチンは分子レベルで差異がある
Elastins from patients with Williams-Beuren syndrome and healthy individuals differ on the molecular level.
Heinz A(1), Huertas AC(1), Schr?der CU(1), Pankau R(2), Gosch A(3), Schmelzer CE(1).
Author information:
(1)Faculty of Natural Sciences I, Institute of Pharmacy, Martin Luther University Halle-Wittenberg, Halle (Saale), Germany.
(2)Finkelstein-Klinik f?r Kinder-und Jugendmedizin, Heidekreis-Klinikum, Walsrode, Germany.
(3)Fakult?t f?r angewandte Sozialwissenschaften FK 11, Hochschule M?nchen, M?nchen, Germany.
Am J Med Genet A. 2016 Jul;170(7):1832-42. doi: 10.1002/ajmg.a.37638.
ウィリアムズ症候群は先天性疾患であり第7染色体上のエラスチンを含む複数の遺伝子の半接合欠失を含んでいる。重要な細胞外基質タンパク質であるエラスチンの半接合に付随する臨床症状には、皮膚の早期老化や大動脈弁上狭窄が含まれる。しかし、ウィリアムズ症候群患者の結合組織の構造的異常の分子的基礎に関してはほとんど知られていない。そこで、本研究は、ウィリアムズ症候群と健康な人の皮膚や動脈器官に存在するエラスチンの量と構造を比較して、初めて体系的にその特徴を調べることを目的としている。組織生検を用いてエラスチン繊維を採取した結果、ウィリアムズ症候群患者の皮膚は、健康な人の皮膚に比べてエラスチンの含有量が有意に少ないことが判明した。走査型電子顕微鏡と質量分析による測定結果を生命情報科学データ分析と組み合わせることで、エラスチンの分子レベル構造を調査した。走査型電子顕微鏡によってウィリアムズ症候群患者のエラスチンと健康な人の間に存在する明白な差異が明らかになった。分子レベルの構造について言えば、ウィリアムズ症候群患者と健康な人ではプロリンの水酸化の程度が異なっている一方、トロポエラスチンのイソ型は同じであった。架橋結合の面では、四官能性架橋デスモシンやイソデスモシンの内容には、ウィリアムズ症候群患者と健康な人で差は見られなかった。しかし、主成分分析を行ったところ、健康な発端者とウィリアムズ症候群患者のエラスチンの酵素消化には差異がみられ、これは酵素切断に対する感受性に差があることを示唆している。全体として、本研究はウィリアムズ症候群患者の遺伝子型とエラスチン関連表現型特徴の間の関連に関する理解を深めることに貢献している。
(2016年6月)
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