自閉症スペクトラム障害に対する片親起源効果に関する全ゲノム検査の結果、これまでに報告されたSHANK3遺伝子を含む遺伝子の関係が確認された



A genome-wide investigation into parent-of-origin effects in autism spectrum disorder identifies previously associated genes including SHANK3.

Connolly S(1), Anney R(1,)(2), Gallagher L(1), Heron EA(1).
Author information:
(1)Neuropsychiatric Genetics Research Group, Department of Psychiatry, Trinity College Dublin, Trinity Centre for Health Sciences, Dublin, Ireland.
(2)Division of Psychological Medicine and Clinical Neurosciences, Cardiff University School of Medicine, Hadyn Ellis Building, Cathays, Cardiff, UK.
Eur J Hum Genet. 2016 Nov 23. doi: 10.1038/ejhg.2016.153. [Epub ahead of print]

自閉症スペクトラム障害は遺伝性の神経発達障害であり人口の1%を超える人が発症することが知られているが、自閉症スペクトラム障害の大部分は起因遺伝子は特定されていない。片親起源効果はプラダ―・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群のような神経発達障害で、これらの症候群の患者は自閉症スペクトラム障害兆候を呈する症候群の病理学上の重要なメカニズムとして注目を浴びている。従って、自閉症スペクトラム障害に関して片親起源効果を系統的に調査することが、原因となる遺伝子的メカニズムを解明するための重要な一連の研究であることは明らかである。多項モデルを用いた母親由来効果、刷り込み効果(imprinting)、相互効果の評価方法(EMIM)を用いて、自閉症ゲノムプロジェクトとSimons Simplex Consortium genome-wide associationの両データセットに対して同時に刷り込みと母親由来に関する遺伝子効果を調査した。全ゲノム関連研究における有意レベルについて厳密性(stringent )を過剰に取り入れることを避けるために、サンプルの大きさ、アレル頻度、利用可能な既知情報を考慮したベイズの閾値(Bayesian threshold)を採用した。二つのデータセット間で、ベイズ閾値に合致する18種類の刷り込み効果と68種類の母親由来遺伝子効果を確認したが、両データセットで同時に閾値をクリアするものはなかった。これまでに自閉症スペクトラム障害の片親起源効果があると示されている遺伝子領域で刷り込み効果と母親由来遺伝子効果を確認した。これらの発見に加えて、これまでは自閉症スペクトラム障害で確認されていなかった母親由来遺伝子効果が、22番染色体上のSHANK3遺伝子が存在する遺伝子座と7番染色体上のWBSCR17遺伝子(ウィリアムズ症候群と関連する)が存在する遺伝子座で確認された。両遺伝子はこれまでに自閉症スペクトラム障害と関係することが確認されている。

(2016年12月)



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