ウィリアムズ症候群と関連するメチル基転移酵素WBSCR27:結合と切断の補助因子
Williams-Beuren syndrome-related methyltransferase WBSCR27: cofactor binding and cleavage.
Mariasina SS(1), Chang CF(2), Petrova OA(1), Efimov SV(3), Klochkov VV(3), Kechko OI(4), Mitkevich VA(4), Sergiev PV(1)(5), Dontsova OA(1)(5), Polshakov VI(1).
Author information:
(1)M.V. Lomonosov Moscow State University, Moscow, 119991, Russia.
(2)Genomics Research Center, Academia Sinica, Taipei, Taiwan.
(3)NMR Laboratory, Institute of Physics, Kazan Federal University, Kazan, 420008, Russia.
(4)Engelhardt Institute of Molecular Biology, Russian Academy of Sciences, 32 Vavilova str, Moscow, 119991, Russia.
(5)Skolkovo Institute of Science and Technology, Moscow, Russia.
FEBS J. 2020 Apr 7. doi: 10.1111/febs.15320. [Epub ahead of print]
ウィリアムズ症候群は、様々な生理学的あるいは精神的問題で特徴を有していて、染色体7q11.23領域の半接合欠失を原因とする。この部分には26個のタンパク質をコードする遺伝子があり欠失により失われている。タンパク質WBSCR27は、これら失われた遺伝子の中の一つの生成物であり、いまだ生物学的なその機能は明らかになっていないとともに、その構造情報も現在まで不明のままである。核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、マウスのWBSCR27の構造と機能の特性を調査した。基質が結合していないアポ構造のタンパク質、およびメチル基転位反応の生成物としてのS-アデノシルホモシステイン(S-(5'-adenosyl)-L-homocysteine (SAH))と結合した複合体としてのタンパク質の両方で、完全なNMR共鳴帰属を得ることに成功して二次構造を確定した。この情報によりWBSCR27をクラスIのメチル基転移酵素に分類することができた。WBSCR27とS-アデノシルメチオニン(S-(5'-adenosyl)-L-methionine (SAM))との相互作用及びその代謝生成物であるS-アデノシルホモシステイン、 メチルチオアデノシン(MTA)、5'-デオキシアデノシル(5'dAdo)を核磁気共鳴装置と等温滴定熱量測定機を用いて研究した。S-アデノシルホモシステインはS-アデノシルメチオニンと比較してより強固にWBSCR27に結合し、メチル化反応における補助因子代謝回転(cofactor turnover)に関する疑問を投げかける。この質問に対する可能性がある回答のひとつとしては、微弱ではあるが検出可能なWBSCR27に対するヌクレオシダーゼ反応の存在がある。さらに我々は、S-アデノシルホモシステインかS-アデノシルメチオニンの結合がWBSCR27の構造や、酵素としての基質認識部位の識別を担うタンパク質断片の立体構造としての可動性に有意な変化をもたらしていることを発見した。このことは、補助因子の結合が酵素としての基質認識部位の折り畳み方を調整していること示している。
(2020年4月)
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