自然に発生するリボヌクレオシドの修飾



Naturally occurring modified ribonucleosides
McCown PJ(1), Ruszkowska A(1), Kunkler CN(1), Breger K(1), Hulewicz JP(1), Wang MC(1), Springer NA(1), Brown JA(1).
Author information:
(1)Department of Chemistry and Biochemistry, University of Notre Dame, Notre Dame, Indiana, USA.
Wiley Interdiscip Rev RNA. 2020 Apr 16:e1595. doi: 10.1002/wrna.1595. Online ahead of print.

1951年にプソイドウリジン(pseudouridine)が5番目のリボヌクレオチドとして位置づけられて以来、4種類の基準ヌクレオシドを超えたRNA分子の化学的性質が科学者の注目を集めている。それ以降、ウィルスや3種類の生物ドメインすべてにおいて発見されたリボヌクレオシド修飾の種類や複雑さは増え続けている。この修飾には、メチル化や水酸化やチオール化などの簡単なものから、閉環化や糖鎖修飾やアシル化やアミノアシル化などの複雑なもの、さらにはセレニウムの取り込みのような否定形的なものまで含まれる。修飾は最初にトランスファーRNAややリボソームRNAで発見されたが、メッセンジャーRNAやノンコーディングRNAでも見つかっている。修飾は細胞が様々なレベルで発揮する顕著な機能を有しており、RNA構造の変化から細胞の生存や生命体の生存に重要なものにまで及ぶ。RNA修飾に関係する異常の存在や不在がヒトの病気にもつながっており、ガンからHoyeraal-Hreidarsson症候群、ボーエン・コンラディ症候群(Bowen-Conradi)、ウィリアムズ症候群など様々な代謝や発達疾患にまで関係する。本レビュー論文では、これまでに知られている143種類の全ヌクレオシド修飾の特徴をまとめ、分類学的分布、修飾をもたらす酵素、細胞プロセスに関する考察、RNA構造、疾患などを記載する。さらに現在行われている研究エリアにも光を当て、特定の修飾タイプを含む特異的なRNAや、新たなRNA修飾を特定するのに用いられる方法論について述べる。

(2020年6月)



目次に戻る