ウィリアムズ症候群責任領域の欠失が顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーを露見させる
Deletion of the Williams Beuren syndrome critical region unmasks facioscapulohumeral muscular dystrophy.
Rodolico C(1), Politano L(2), Portaro S(3), Murru S(4), Boccone L(4), Sera F(5), Passamano L(2), Brizzi T(6), Tupler R(7).
Author information:
(1)Department of Clinical and Experimental Medicine, University of Messina, Italy.
(2)Cardiomyology and Medical Genetics, Department of Experimental Medicine, University of Campania, "Luigi Vanvitelli", Naples, Italy.
(3)IRCCS Centro Neurolesi Bonino Pulejo, Messina, Italy.
(4)Azienda Ospedaliera "G.Brotzu", Cagliari, Italy.
(5)Department of Public Health, Environments and Society, London School of Hygiene and Tropical Medicine, London, UK.
(6)Department of Clinical and Experimental Medicine, University of Messina, Italy; "Piemonte" Hospital, Messina, Italy.
(7)Department of Biomedical, Metabolic and Neural Sciences, University of Modena and Reggio Emilia, Modena, Italy; Department of of Molecular, Cell and Cancer Biology, University of Massachsetts Medical School, Worcester, USA. Electronic address: rossella.tupler@unimore.it.
Eur J Paediatr Neurol. 2020 May 22:S1090-3798(20)30106-9. doi: 10.1016/j.ejpn.2020.05.006. Online ahead of print.
イタリア国立症例記録に登録された血縁関係にない1339例の顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーのなかで、初期の子ども時代にウィリアムズ症候群の徴候を呈し、後に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーを進行させた血縁関係にない3症例を見出した。3症例のすべてが2つの疾患につながる分子的欠陥を有していた。ウィリアムズ症候群が7500人に1人、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーが20000人に1人という稀少性から、この二種類の疾患が偶然合併することはほとんどありえない。この症例は遺伝子的発見に関する新たで意外な解釈を提示している。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーとウィリアムズ症候群が非ランダムに合併することは遺伝子の同時発現ネットワークの存在を示唆しており、この二種類の疾患に関する分子的・機能的に濃縮された経路の特定に関する手掛かりを提供する。
訳者注
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー:小児慢性特定疾病情報センターのホームページより
病因
染色体4q35-qterには制限酵素kpnIで消化されるD4Z4とよばれる3.3kbの繰り返し配列が存在し、通常この繰り返し配列の数は11〜100個以上と様々であるが、本疾患患者では10個以下と減少している。
症状
初発症状は表情が乏しい、麺をうまくすすれない、上肢の挙上困難、翼状肩甲などの顔面筋罹患、上肢帯の筋力低下を主訴とする場合が多い。多くは20歳までに発症するが、幼児期から壮年期まで幅があり、壮年期になっても軽度の顔面筋罹患のみの場合もある。症状の進行は緩徐であるが、進行とともに下肢帯、下肢にも障害は及び、成人になって車椅子生活になる場合も多い。
(2020年6月)
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