自閉症とウィリアムズ症候群:血液中の異常な遺伝子発現パターンは共通しているが社会認知プロフィールは異なる
Autism and Williams syndrome: Dissimilar socio-cognitive profiles with similar patterns of abnormal gene expression in the blood.
Niego A(1), Ben?tez-Burraco A(1).
Author information:
(1) University of Seville, Spain.
Autism. 2020 Nov 3:1362361320965074. doi: 10.1177/1362361320965074. Online ahead of print.
自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群は社会性領域におおいてまったく正反対の特徴を示す複雑な認知機能疾患である。すなわち、自閉症スペクトラム障害の患者は大部分が非社会的であるのに対して、ウィリアムズ症候群患者は通常は超社会的であると報告されている。同時に、自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群はそれらの根底に存在する共通的行動的・認知的障害を共有している。しかし、社会-認知分野にける相違点(そして共通点)を裏打ちしている遺伝子がどれなのかは明らかになっていない。本論文では、比較分子分析手法を適用して、これらの疾患の患者の血液中で相違点(や共通点)を制御している可能性がある遺伝子を探索する。我々は定型発達の対照群に比べて患者の血中の調節不全の遺伝子群の有意な重なりを見つけた。多くの遺伝子は上方制御していたが、中には下方制御する遺伝子も存在した。似た発現傾向にある遺伝子であるにもかかわらず、疾患によっては量的な差異が見られ、それらの多くが自閉症スペクトラム障害に比べてウィリアムズ症候群ではより強く下方修正する傾向があった。発現が異なる遺伝子は脳の発達と機能(特に樹状突起形成)の曲面に含まれていて、自閉症スペクトラム障害やウィリアムズ症候群の疾病原因に関連して脳部位(特に小脳、視床、線条体)で発現していた。全体的に見て、これらの遺伝子は自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群の社会認知プロフィール相互間の相違点と共通点を司る遺伝子候補である見込みが高まった。
(2020年11月)
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