微小欠失/微小重複症候群に関連するゲノム領域は構造的変異に極端な多様性がある
Genomic regions associated with microdeletion/microduplication syndromes exhibit extreme diversity of structural variation.
Mostovoy Y(1), Yilmaz F(2)(3), Chow SK(1), Chu C(1), Lin C(1), Geiger EA(3), Meeks NJL(3), Chatfield KC(3)(4), Coughlin CR(3), Surti U(5), Kwok PY(1)(6)(7), Shaikh TH(3).
Author information:
(1)Cardiovascular Research Institute, UCSF School of Medicine, San Francisco, CA 94143, USA.
(2)Department of Integrative Biology, University of Colorado Denver, Denver, CO 80204, USA.
(3)Department of Pediatrics, Section of Clinical Genetics and Metabolism, University of Colorado School of Medicine, Aurora, CO 80045, USA.
(4)Department of Pediatrics, Section of Cardiology, University of Colorado School of Medicine, Aurora, CO 80045, USA.
(5)Department of Pathology, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15213, USA.
(6)Department of Dermatology, UCSF School of Medicine, San Francisco, CA 94143, USA.
(7)Institute for Human Genetics, UCSF School of Medicine, San Francisco, CA 94143, USA.
Genetics. 2021 Feb 9;217(2):iyaa038. doi: 10.1093/genetics/iyaa038.
部分重複は長い繰り返し構造を持つDNA要素の一種類であり、そのパラログはお互いに高度に類似した配列を共有している。部分重複は染色体の再編成を媒介し、母集団だけではなく、複数の先天的な異常を呈するゲノム疾患(7q11.23(ウィリアムズ症候群)や15q13.3や16p12.2微小欠失症候群などを含む)においても構造的な変異をもたらす。母集団レベルの部分重複調査は実施されないことが多く、その理由はこれらの複雑な領域を分析する技術が手間がかかりかつ費用が高いことがある。本研究では遺伝子型の複雑な構造の変異に対して単一広範囲分子光学マッピングアプローチというハイスループット技術を用いた。5個の上位母集団を構成する26個の母集団に属し、遺伝子型として正常な154人の被験者から得られた光学マッピングデータを用いて、7q11.23と15q13.3と16p12.2の領域における部分重複を確認し新規の構造変異を特定した。各遺伝子座において複数の新規構造変異を検知しており、その中のいくつかは母集団間で発生頻度が有意に異なっていた。それに加えて、ウィリアムズ症候群患者2人、15q13.3の患者1人、16p12.2微小欠失症候群の患者1人から、複雑な部分重複部位に存在する特定のパラログデュプリコンに微小欠失の染色体切断点を特定した。母集団レベルのデータによれば、部分重複を含む領域内の大規模で複雑な構造的変異に極端な多様性が存在することが明らかになった。ここで概略を述べた我々のアプローチは、染色体の再配列やゲノム疾患の原因としての観点における部分重複間の構造的変異の役割の調査を強力に促進する。
訳者注:
パラログ:ゲノム内の複製で生じて新機能を獲得した遺伝子のこと
デュプリコン:ゲノム上の巨大な複製領域
(2021年4月)
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