ウィリアムズ症候群転写因子はPI3K/Akt信号経路を制御することで子宮頸癌細胞の増殖と浸潤を促進する
Williams syndrome transcription factor promotes proliferation and invasion of cervical cancer cells by regulating PI3K/Akt signaling pathway.
Jiang D(1), Ren C(1), Yang L(1), Li F(1), Yang X(1), Zheng Y(1), Ji X(1), Tian Y(1).
Author information:
(1)Department of Obstetrics and Gynecology, The Third Affiliated Hospital of Zhengzhou University, Zhengzhou, P.R. China.
J Obstet Gynaecol Res. 2021 May 24. doi: 10.1111/jog.14813. Online ahead of print.
目的:子宮頸癌の組織や細胞内におけるウィリアムズ症候群転写因子(WSTF)の発現、増殖、転移や浸潤に対する効果、子宮頸癌の細胞内におけるウィリアムズ症候群転写因子の分子的メカニズムを調べ、新たなバイオマーカーを発見することである。
材料と手法:組織内におけるウィリアムズ症候群転写因子の発現はリアルタイム定量的PCR法(real-time quantitative polymerase chain reaction (RT-qPCR))や免疫組織化学的検査を用いて検出した。ヒトの子宮頸癌細胞株と正常な子宮頸部上皮細胞株をリアルタイム定量的PCR法で検査した。レンチウイルス媒介を用いてSiha/CaSki細胞に遺伝子を導入した。レンチウイルスの導入効率は、蛍光顕微鏡、リアルタイム定量的PCR法、ウェスタンブロットで観察した。導入後、Siha/CaSki細胞の増殖はCCK-8アッセイとコロニー形成アッセイを用いて検出した。 Siha/CaSki細胞の転移と浸潤についてはトランズウェルアッセイと創傷治癒アッセイを用いて検出した。ウェスタンブロットアッセイはウィリアムズ症候群転写因子及びSiha/CaSki細胞に含まれるたんぱく質に関連するPI3K/Aktの発現を検出する際に使用した。
結果:子宮頸癌組織内におけるウィリアムズ症候群転写因子の発現は隣接組織内に比べて高かった(p<0.05)。子宮頸癌細胞内におけるウィリアムズ症候群転写因子の発現は正常な子宮頸部上皮細胞内に比べて高かった(p<0.01)。ウィリアムズ症候群転写因子の発現の下方制御は子宮頸癌細胞の増殖、転移、浸潤を抑制している可能性がある(p<0.01)。ウィリアムズ症候群転写因子の過剰発現はPI3K/Akt信号経路を活性化している(p<0.01)。
結論:子宮頸癌の組織や細胞内におけるウィリアムズ症候群転写因子は高度に発現し、ウィリアムズ症候群転写因子の発現の下方制御は、PI3K/Akt信号経路を活性化することで子宮頸癌細胞の増殖、転移、浸潤を抑制できる。ウィリアムズ症候群転写因子は子宮頸癌に対する新規の非常に有力なバイオマーカーである。
(2021年5月)
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