シナプス可塑性、記憶、脳疾患におけるLIMキナーゼ



LIM-Kinases in Synaptic Plasticity, Memory, and Brain Diseases.

Ben Zablah Y(1)(2), Zhang H(1)(2), Gugustea R(1)(2), Jia Z(1)(2).
Author information:
(1)Program in Neurosciences and Mental Health, The Hospital for Sick Children, Peter Gilgan Centre for Research and Learning, Toronto, ON M5G 0A4, Canada.
(2)Department of Physiology, Temerty Faculty of Medicine, University of Toronto, Toronto, ON M5S 1A8, Canada.
Cells. 2021 Aug 13;10(8):2079. doi: 10.3390/cells10082079.

学習や記憶にはシナプスの結合を構造的かつ機能的に変更することが必要であり、シナプスの欠陥が数多くの脳疾患の根底にあると信じられている。LIMドメイン蛋白質キナーゼ(LIMK1とLIMK2)はアクチン骨格細胞系に対する重要な調節因子で、アクチン結合蛋白質であるコフィリンに影響を及ぼすことで作用する。さらに、LIMK1はサイクリックAMP応答配列結合タンパク質との相互作用を通じて遺伝子発現の調節に関係している。集めた一連の証拠は、LIMK群が脳の正常機能や機能異常に決定的な影響を及ぼしていることを示している。本論文では長期増強や長期抑圧に対する調節におけるLIMK群の役割と根底にあるメカニズムに関する研究をレビューする。これらは学習や記憶の基礎となる細胞的メカニズムであると広く認識されている長期持続的シナプス可塑性に関して最も集中的に研究された形式である。それに加えて樹状突起棘、シナプス可塑性の構造的基盤、記憶形成等の調節に対するLIMK群の関わりについて議論する。最後に、アルツハイマー病、パーキンソン病、ウィリアムズ症候群、統合失調症、自閉症スペクラム障害等を含む精神疾患や神経疾患などにおけるLIMK群の研究の最新の進展についても議論する。

(2021年9月)



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