自閉スペクトラム症:比較ゲノム解析法を用いたウィリアムズ症候群責任領域7q11.23に存在する転移因子の分析



Autism Spectrum Disorders: Analysis of Mobile Elements at 7q11.23 Williams-Beuren Region by Comparative Genomics.

Cupaioli FA(1), Fallerini C(2)(3), Mencarelli MA(4), Perticaroli V(2)(3)(4), Filippini V(2)(3)(4), Mari F(2)(3)(4), Renieri A(2)(3)(4), Mezzelani A(1).
Author information:
(1)Institute of Biomedical Technologies, Italian National Research Council, Via Fratelli Cervi 93, 20090 Segrate, Italy.
(2)Med Biotech Hub and Competence Center, Department of Medical Biotechnologies, University of Siena, 53100 Siena, Italy.
(3)Medical Genetics, University of Siena, 53100 Siena, Italy.
(4)Genetica Medica, Azienda Ospedaliero Universitaria Senese, 53100 Siena, Italy.
Genes (Basel). 2021 Oct 12;12(10):1605. doi: 10.3390/genes12101605.

自閉スペクトラム症は一連の複雑な神経発達疾患グループであり、社会的相互作用やコミュニケーションの障害を特徴とする。いろいろな遺伝子変異が自閉スペクトラム症と関係しており、その中には7q11.23領域で26-28個の遺伝子に渡る重複を含む。対照的に7q11.23領域の半接合欠失はウィリアムズ症候群の原因であり、「超社会性」やコミュニケーション能力を特徴とする多臓器疾患である。面白いことに、「犬のウィリアムズ症候群領域」に存在する4個のエクソンではない転移因子が狼と犬、犬の社会性や順化の間に存在する行動的差異に関連している。これらの転移因子の挿入欠失変異が自閉スペクトラム症にも存在しており、これが異なる表現型と関連していること、そして患者の階層化や療育方法の設計に役に立ちうるバイオマーカであるという仮説を我々は提起する。これらの転移因子はエクソンではないためこれまで認識されてこなかった。我々は比較ゲノム解析法を用いてヒトの相当転移因子と遺伝子座を探索した。面白いことに、予想とは異なってはいるものの自閉スペクトラム症の関連する遺伝子にマップされた。表現型的に異なる自閉症の患者と定型発達している対照群の人の遺伝子座をPCRを用いて増幅した。それぞれのサブセットをサンガー法を用いて配列分析を行った。自閉スペクトラム症と特定の表現型を持たない人に関係する変異は特定されなかったが、新規の小規模な挿入や一塩基多型が発見された。転移因子は高度にメチル化されやすく後生的に遺伝子発現を修飾することから、自閉スペクトラム症に対するさらなる研究が必要である。

(2021年11月)



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