WBSCR22とTRMT112は、ISG15の転写制御を通じて膵臓癌の細胞増殖、浸潤、腫瘍形成を相乗的に抑制する



WBSCR22 and TRMT112 synergistically suppress cell proliferation, invasion and tumorigenesis in pancreatic cancer via transcriptional regulation of ISG15.

Khan AA(1), Huang H(1), Zhao Y(2), Li H(1), Pan R(1), Wang S(1), Liu X(1).
Author information:
(1)Center of Excellence for Environmental Safety and Biological Effects, Beijing International Science and Technology Cooperation Base for Antiviral Drugs, Faculty of Environment and Life, Beijing University of Technology, Beijing 100124, P.R. China.
(2)Intensive Care Unit, Beijing Tsinghua Changgung Hospital, Beijing 102218, P.R. China.
Int J Oncol. 2022 Mar;60(3):24. doi: 10.3892/ijo.2022.5314. Epub 2022 Jan 28.

膵臓癌は生命予後が悪く、致命的な特徴を有することから、最も侵襲性が高く壊滅的なタイプの癌である。腫瘍抑制因子や癌遺伝子として有名で重要な制御遺伝子の発現の迷走によって、患者は膵臓癌になり、進行や転移をおこす。ウィリアムズ症候群染色体領域22 (WBSCR22)の発現の上方制御、すなわちリボソームの新生要素が複数の型のヒトの癌で報告されている。しかし、膵臓癌におけるWBSCR22の役割や、基底となるメカニズムは充分に研究されていない。本研究は膵臓癌におけるWBSCR22の制御の役割を初めて報告する。その結果は生体内や試験管内でWBSCR22の過剰発現が細胞の増殖、転移、浸潤、腫瘍形成を有意に抑制することを示す。RNA配列分析を行ったところ、WBSCR22はインターフェロン活性化遺伝子15(ISG15)下流の転写をネガティブに制御しており、これは、代謝経路やプロテアソーム分解経路に存在するユビキチン様修飾因子蛋白質である。一方で、WBSCR22の過剰発現による制癌性機能はISG15の過剰発現によってレスキューされる可能性がある。加えて、ISG15の発癌性に対する役割が膵臓癌でさらに確認された。その上方制御が膵臓癌の細胞増殖、転移、浸潤、腫瘍形成を進行させる。さらに、WBSCR22とその補助因子であるtRNAメチル化酵素活性化因子サブユニット11-2 (TRMT112)が膵臓癌内で相乗的に機能しており、 WBSCR22とTRMT112の異所性同時発現がさらに膵臓癌内でのWBSCR22の癌抑制機能促進している。これらの発見を併せて考えると、WBSCR22は膵臓癌の発達において重要な役割を担っていること、そしてWBSCR22/ISG15軸が膵臓癌の新たな治療戦略を提示していることを示している。

(2022年2月)



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