ヒトの発達と疾病における繰り返しDNA配列の役割



The Role of Repeat DNA Sequences in Human Evolution and Disease.

Lawce H(1).
Author information:
(1)Oregon Health and Science University Hospital, Portland, Oregon.
J Assoc Genet Technol. 2022;48(2):54-61.

染色体の部分重複は新たな遺伝子機能を作り出す重要な進化機構の一つである。ひとたび最初の重複が起きると、次のイベント(構造変化)が発生する確率が高くなる。部分重複は様々な大きさや配置で発生する。部分重複が霊長類の遺伝子に起きた急速な進化に貢献していると長い間考えられてきた。部分重複は、霊長類の種間でしばしば共通的に共有されている進化的に保存された配列、すなわち中心的な重複の周囲で集団を形成する傾向がある。既知の部分重複の多くはヒトの染色体異常や遺伝子疾患の素因と関連している。部分重複が病因として関連している染色体異常には、欠失、中間部重複、逆位、過剰マーカー染色体や転位が含まれる。ゲノム異常には、ディジョージ症候群、口蓋心臓顔面症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、キャットアイ症候群をはじめとして数多い。さらに部分重複はいくつかの癌の病因で重要な役割を果たしている可能性がある。部分重複の形成と拡大の機構として考えられるモデルの多くは、対立していない部分重複の並列配置という誤整列と、その後に起こる組み換えに起因している。

(2022年6月)



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