ウィリアムズ症候群の共通欠失領域の完全な物理マップと3つの新しい遺伝子の同定と特徴



Complete physical map of the common deletion region in Williams syndrome and identification and characterization of three novel genes.

Meng X, Lu X, Li Z, Green ED, Massa H, Trask BJ, Morris CA, Keating MT
Howard Hughes Medical Institute, University of Utah, Salt Lake City 84112, USA.
Hum Genet 1998 Nov;103(5):590-9


ウィリアムズ症候群は7q11.23の位置にある遺伝子の片方の不足が原因となっている先天 的遺伝子欠失病である。我々はこれまでに、エラスチン遺伝子の半接合がウィリアムズ症 候群の症状のひとつである大動脈弁上狭窄(SVAS)に寄与していることを示した。さらに、 LIM-kinase 1遺伝子の半接合が、ウィリアムズ症候群の視空間構造に関する認知障害に影 響を与えていることを指摘した。しかし、ウィリアムズ症候群に共通している欠失領域は まだ完全に解明されておらず、精神遅滞・乳児期の高カルシウム血症・独特の性格などそ の他のウィリアムズ症候群の特徴の責任遺伝子はまだ発見されていない。この論文で我々 は、ウィリアムズ症候群の患者に共通する欠失領域の1.5Mb(150万塩基)のDNAを含 む領域の物理的マップを提示する。ウィリアムズ症候群の患者200人を対象にFISH (Fluorescence in situ hybridization)分析を行った結果、ウィリアムズ症候群の患者 の欠失幅は同じであった。加えて、共通欠失領域から WS-betaTRP, WS-bHLH, BCL7B とい う3つの新し遺伝子を発見した。WS-betaTRP は ベータ・トランスデューシン(beta- transducin)(WD40) と推定される配列の繰り返しを4回持っている。WS-bHLH はヘリック ス・ループ・ヘリックス(helix-loop-helix)ロイシンジッパー(leucine zipper)基本 構造を持つ新しい遺伝子である。BCL7B は高度保存遺伝子(highly conserved genes:進 化の過程で保存されている)ファミリーに属する新しい遺伝子である。我々はこれらの遺 伝子の発現プロフィルと遺伝子構造を記述する。これらの遺伝子の一つ、あるいは複数が 欠失して半接合になることによって、いろいろなウィリアムズ症候群の発達障害が引き起 こされる可能性がある。

(1999年1月)



目次に戻る